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飯田・葉山ハートセンター院長 漏斗胸手術1000例を達成 独自の術式で患者さん負担軽減

2026年(令和8年)04月27日 月曜日

飯田・葉山ハートセンター院長 漏斗胸手術1000例を達成 独自の術式で患者さん負担軽減

葉山ハートセンター(神奈川県)の飯田浩司院長は、漏斗胸に対する手術件数が1,000例を達成した(うち徳洲会グループで689例、2月16日時点)。飯田院長が徳洲会に入職した2013年以降、同院に加え、勤務経験のある湘南鎌倉総合病院(神奈川県)を拠点としながら、その活動は全国に広がっている。異物を使わず合併症を抑える独自の術式(胸肋挙上術変法)を用い、多くの患者さんを支え続けている。

「患者さんの人生を大きく変える手助けができるのは、やりがい」と飯田院長 漏斗胸の治療前 漏斗胸の治療後

飯田院長が漏斗胸手術に出合ったのは、1984年に東京女子医科大学で故・和田壽郎教授に師事した時。当時は、助手での参加を含め年間約300例の手術を実施していた。93年からは獨協医科大学で術式に独自の工夫を施し、それ以降の手術件数が1,000例に達した。「紹介されてきた小児患者さんを、主に夏休みに手術していました。当時は現在と違い情報を発信することが難しかったのを覚えています」と振り返る。

飯田院長が徳洲会に入職した2013年以降、その活動フィールドは大きく広がった。現在は葉山ハートセンターに加え、湘南鎌倉病院、大垣徳洲会病院(岐阜県)、中部徳洲会病院(沖縄県)などでも手術を実施。自らが各地に出向く理由は、「漏斗胸の患者さんは学童生徒さんが多く、親御さんも仕事しているので、遠方での手術になると通院することが難しいからです」と力を込める。

現在、世界的に主流となっている漏斗胸手術は、1998年に発表された長い金属のバーを胸腔内に挿入して胸骨を押し上げる「Nuss法」。一方、飯田院長は、変形した肋軟骨を一つひとつ切除して形を整え、再縫合する独自の術式である「胸肋挙上術変法」を実施。「現在ではNuss法以外の論文は見当たりません。私だけがNuss法以外の手術を続けていると言っても過言ではありません」と飯田院長は強調、そのこだわりには確かな裏付けがある。

Nuss法には金属アレルギーやバーのずれ、術後の強い痛み、肺炎のリスクなど避けては通れない合併症の懸念がある。バーを留置し続ける2~3年間の運動制限も、若年の患者さんには負担が大きい。これに対し、胸肋挙上術変法は術後3カ月目以降にすべての活動が可能になり、異物に起因する合併症がなく、これまで輸血や術後の肺炎は起こしていない。

「Nuss法に比べ合併症が圧倒的に少なく、術後の痛みが長引かないことが最大の利点です。中学生以下の患者さんでは、これまで退院後に鎮痛剤を必要とした人はいません」(飯田院長)という実績が、患者さん・家族からの信頼につながっている。

手術件数が飛躍的に伸びたきっかけのひとつは、2001年にWEB上に胸郭変形疾患とその手術に関する解説を掲載したことだ。現在も同院のSNSやオンライン医療講演などで情報発信を強化。国内だけではなく、英語のホームページを見て、カナダやウクライナから訪日して手術を受ける患者さんもいるなど、そのネットワークは全世界に広がっている。

飯田院長は「漏斗胸手術では、患者さんとご家族の満足度がとても大きいと感じます。小児の患者さんの人生は、その後何十年も続きますので、その人生を大きく変える手助けができるのは、非常にやりがいのある仕事です」と強調。実際に、術後に呼吸機能が改善したことでバスケットボールや野球で活躍したり、声が出るようになって声楽の道で自信を深めたり、フルート演奏の息継ぎが楽になったりと、患者さんたちの喜びの声は枚挙にいとまがない。

現在、飯田院長は自身の技術を次世代に継承することに注力。胸肋挙上術変法は非常に高度な技術を要するため、習得には多くの経験が必要だが、湘南鎌倉病院の深井隆太・呼吸器外科主任部長や若手医師たちが、この「職人技」に興味をもち共に手術を行っている。1,000例という通過点を経て、今後も全国の患者さんに貢献していく。

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