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坂口・大阪大学特別栄誉教授 制御性T細胞が拓く新治療 免疫寛容解明しノーベル賞受賞

2026年(令和8年)04月06日 月曜日

坂口・大阪大学特別栄誉教授 制御性T細胞が拓く新治療 免疫寛容解明しノーベル賞受賞

末梢性免疫寛容に関する発見(制御性T細胞[Treg]の同定と役割の発見)により、2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞した大阪大学の坂口志文・特別栄誉教授(免疫学フロンティア研究センター実験免疫学特任教授)が講演を行った。テーマは「制御性T細胞:その発見から新しい免疫療法に向けて」。Tregの発見から、その分子メカニズム、臨床応用の可能性までを解説した。

「Tregを用いた新たな治療・予防法の開発を進めていきたい」と坂口・特別栄誉教授

Tregは過剰な免疫反応を抑制し、自己免疫疾患やアレルギー疾患を防ぐ“免疫系”を担うT細胞(リンパ球)の一種。免疫系は、ウイルスや細菌などの「非自己」を排除する一方、「自己」に対しては反応しない。これを免疫寛容と呼び、この仕組みが崩れると自己免疫疾患が発症する。

「免疫寛容の仕組みは、これまで自己免疫応答を起こすT細胞の『排除』や『不活性化』、『抑制』といったメカニズムが提案されてきました。3つ目の抑制は、通常のT細胞とは別のT細胞集団が活性化や増殖を抑えているという考え方です。これが、私たちが発見したTregと呼ぶものです」

坂口・特別栄誉教授らの研究チームはマウスを用いた研究で、CD25という細胞表面の分子マーカーによって定義される細胞群が免疫寛容の鍵を握ることを突き止めた。実験で、CD25陽性細胞を除去したマウスは自己免疫疾患を発症し、戻すと抑制できることを確認した。Tregの存在を証明した瞬間だ。1995年のことである。

その後、ノーベル賞の共同受賞者となるメアリー・ブランコウ博士(米システム生物学研究所)とフレッド・ラムズデル博士(米ソノマ・バイオセラピューティクス)の研究成果をふまえ、ヒトの免疫系でもTregが機能していることを確認した。

「こうした研究から言える重要なことは、自己と非自己の境界は動かすことができるということです。つまり、Tregを減らすと免疫反応が過剰となり、増やせば抑制できることから、治療への応用が可能になります」と説明。

がん免疫療法など臨床応用へ成果

続けて「Tregをコントロールして免疫系を制御できれば、関節リウマチをはじめとする膠原病やI型糖尿病などの自己免疫疾患、アレルギー疾患、潰瘍性大腸炎など免疫異常が関与している疾患の治療、臓器移植の拒絶反応の抑制、自己細胞由来のため免疫系が有効に機能しないがんに対しては、逆に免疫反応を高めることなどが期待できます」と展望した。

このほか、腫瘍浸潤性Tregの分子マーカーであるCCR8を標的に進めている“がん免疫療法”や、移植免疫寛容の誘導に関する研究、通常のT細胞のTregへの変換など、臨床応用に向けた研究成果を紹介し、新たな治療法・薬の開発に意欲を見せた。

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