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岸和田病院消化器内視鏡チーム 「Japan Endoscopy Team」始動 所属病院にとらわれず全国へ応援診療

2024.06.10

岸和田病院消化器内視鏡チーム 「Japan Endoscopy Team」始動 所属病院にとらわれず全国へ応援診療

離島・へき地から都市部に立地する病院・診療所まで、積極的にグループ施設への内視鏡応援に取り組む岸和田徳洲会病院(大阪府)消化器内視鏡チーム。この4月、チーム名をJapan Endoscopy Team(JET)とした。応援先は27施設(25病院・2診療所)に上り、2023年の応援内視鏡件数は2万4,303件に達した。岸和田病院と応援先を合わせたJETとしての内視鏡件数は、過去最多の総計4万3,092件。遠隔内視鏡診療支援やAI(人工知能)内視鏡画像診断支援、ホンダジェット「徳洲ジェット」の活用など、続々と新たな試みを実行し、患者さんに貢献している。

内視鏡件数は年間4万3000件超

応援先では上下部内視鏡検査から大腸ポリープの切除、消化管出血の止血術、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)、ESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)など高度な内視鏡診療まで手がける。

岸和田病院消化器内科では“離島応援は通常業務”という認識を同科全体で共有し、症例の多い同院で医師を集め、応援派遣を行う仕組みを確立している。こうした応援体制を築いたのは、同院の尾野亘院長(現・神戸徳洲会病院院長)だ。当時、岸和田病院では副院長兼内視鏡センター長だった。15年に同センター長の座を引き継いだ井上太郎副院長(現・神戸病院副院長)が、さらに体制を強化し、医師の増員や応援先、内視鏡件数の拡大に尽力した。現在、総勢40人の医師を擁するまでにチームは拡大している。

応援内視鏡件数は年々増加傾向で、5年前と比べほぼ倍増。現在では応援先での総数が、岸和田病院での件数を上回るまでに増えている。

井上副院長は自身も積極的に応援診療を行う一方、各医師の応援スケジュールの調整や技術的な指導なども手がけ、JETの中心的な存在だ。「岸和田病院消化器内科の医師が増えたことで、同科出身の医師が、宇治徳洲会病院(京都府)や和泉市立総合医療センター(大阪府)、武蔵野徳洲会病院(東京都)、瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県)などグループ病院に異動し、異動先で消化器内科を立ち上げ、その後も応援を継続している先生もいます」と井上副院長。

続けて「所属は岸和田病院ではなくても、これまで岸和田病院消化器内視鏡チームとして、徳洲会の理念実践のため一体となって応援活動を行ってきました。数年前から応援先などで『チーム名はないのですか』と尋ねられる機会が増えてきたことに加え、この4月から私を含め岸和田病院から神戸病院に複数の医師が異動しました。所属病院の枠にとらわれずに、『困っている患者さんがいれば全国どこへでも医療を届けたい』との思いを継続することを旨として、尾野院長とも相談し、JETとして活動していくことにしました」と明かす。

“岸和田ブランド”として地域に根付いたイメージを大切にしながら、質・量ともに向上を目指す。「日本の内視鏡技術は世界一です。そのクオリティを日本だけでなく、将来的には世界にも届けたい」(井上副院長)と胸がふくらむ。

JETの母体である岸和田病院消化器内視鏡チームの制服の袖には、5つの星の刺繍が象徴的に縫い込まれている。活動が拡大する過程で、その意味は変遷を遂げてきた。当初は離島応援を主眼としていたことから奄美群島を意味し、次に応援範囲が全国に広がるなかで日本列島をイメージし、現在では今後を見据え世界五大陸を表す。

制服の袖には活動への思いを込めた5つの星をデザイン

日常業務のひとつとなった遠隔内視鏡診療支援

遠隔支援や徳洲ジェット 離島・へき地医療を強化

先端技術とグループのスケールメリットを生かして、より効率的な内視鏡診療にも腐心してきた。遠隔内視鏡診療支援がそれだ。離島やへき地の病院には指導医がほとんどいないため、若い医師が育ちにくい。そこで、都市部と変わらない内視鏡診療を届けると同時に、遠隔から指導できるシステムの必要性を感じていた。

安定した通信環境があれば、どこでも利用可能で、実際に井上副院長への取材中もタブレットを広げ、離島で内視鏡診療を行う医師と、内視鏡画像を共有しながらリアルタイムに双方向のコミュニケーションを取り、アドバイスを送る場面も見られた。タブレットペンで画面に書き込むと、支援先の画面にも表示される仕組み。すでに“特別な医療”ではなく、日常業務に溶け込んだ欠かせないツールだ。

AI(人工知能)の活用にも取り組んでおり、早期胃がんを対象とした内視鏡画像診断支援ソフトを岸和田病院に4月に導入。一般社団法人徳洲会も開発に協力したAIで、昨年12月に厚生労働省が承認、今年3月に発売された新しいソフトだ。質の維持と効率アップが期待できる。

さらに、都市部と離島・へき地間の効率的な移動を実現するホンダジェット「徳洲ジェット」も活用。試験運用を経て2月に徳洲会が自主運航を開始した。各病院でも利用している。民間の定期旅客便よりも迅速な移動が可能となり、離島・へき地医療の強化につながっている。

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