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「徳洲会集中治療部会」発足 日本集中治療医学会学術集会で35演題発表

2023.04.13

「徳洲会集中治療部会」発足
日本集中治療医学会学術集会で35演題発表

徳洲会集中治療部会が発足した。同部会は、徳洲会に所属する集中治療部門の医療スタッフなどで構成し、徳洲会の理念の下、診療、学術活動、人材育成・確保、情報共有、業務体制の整備などに関し、グループ病院への支援を行うのが活動目的。集中治療の質向上を通じ社会貢献を推進する。3月3日、京都市内で初会合を開き、医師約30人が集まるなか、部会の規約や役員人事、運営方針など審議を行い、いずれも全会一致で承認。3月2~4日には京都市内で第50回日本集中治療医学会学術集会も開催され、徳洲会グループから計35演題と多数の発表があった。

「組織全体に貢献していきましょう」と部会長の丸川部門長

部会長には吹田徳洲会病院(大阪府)救急・集中治療部門の丸川征四郎部門長(医療法人徳洲会集中治療部顧問)が就任した。丸川部門長は元・兵庫医科大学医学部救急・災害医学教授で、集中治療分野の泰斗だ。

会合では、はじめに部会設置の経緯を、医療法人徳洲会周術期医療地域支援室の野村岳志室長が説明。発端は2020年11月に宇治徳洲会病院(京都府)の末吉敦院長、同院集中治療科の福井道彦部長らが、ICU(集中治療室)の体制強化や次世代の集中治療医育成などに関する情報交換を目的とした“徳洲会集中治療メーリングリスト”を整備したことだ。その後、メーリングリストの拡充を図り、同リストへの参加医師をベースに、丸川部門長を中心に部会設置の可能性を模索。東上震一理事長の後押しを受けて発足に至った。

部会活動を通じ集中治療分野の横の連携を強化

続いて登壇した丸川部門長は部会の規約案や役員人事案を提示、多数の拍手を受けて承認された。部会長以外の役員は、副部会長に野村室長と福井部長が就任。名誉部会長に末吉院長が就いた。このほか監事や顧問、幹事、参与を定めた。

この後、福井部長が運営方針案を説明。「徳洲会組織と集中治療部門の充実、発展に貢献する」ことを方針に掲げ、「集中治療部門が質的量的に充実・拡充することで、わが国の集中治療部門をリードする存在になる」ことを目標に据えた。

この目標を達成するために、①専門職者の育成と充実、②施設と設備、③労働生産性向上と業務合理化、④診療の質の普遍化と向上──について具体的な実行計画を立て、取り組む方針だ。部会の構成は集中治療に関心をもつ医師や看護師、コメディカル、事務職員などとし、門戸を広げて多職種で活動していく。

これら運営方針についても承認後、丸川部門長は部会発足を宣言。そのうえで「ぜひ先生方には部会活動を職務として遂行し、徳洲会の組織全体に貢献していきましょう」と呼びかけた。

次いで野村室長から集中治療専門医の認定制度変更、吹田病院の公文啓二・集中治療センター長(同部会監事)から日本ICU患者データベース(JIPAD)事業に関し情報提供。参加医師の自己紹介や施設紹介など行い、交流する時間も設けた。

丸川部門長は「幅広い活動を通じグループ病院のお役に立ちながら、ICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)の充実を図り、スケールメリットを生かした学術・研究活動にも取り組んでいきたい」、野村室長は「集中治療は院内の最後の砦です。患者さんのため、皆で協力しながら活動を盛り上げていきたい」と抱負を語った。

また、末吉院長は「集中治療は医療の質を高めるうえで重要な役割を担います。ぜひ仲間を増やしながら活動の輪を広げていきたい」と展望、福井部長は「若手の育成などに力を入れ、時代に合った活動をしていきたい」と意欲を示した。

パネルディスカッションや シンポジウムなど発表多数

日本集中治療医学会ではシンポジウムなどで多数の演題を発表

第50回日本集中治療医学会学術集会では徳洲会からシンポジウム1演題、パネルディスカッションとワークショップが各2演題、一般演題(口演)1演題、ポスター(ミニオーラル)29演題を発表した。

「重症COVID-19への戦いはまだ続く 呼吸管理編」をテーマとするシンポジウムで、八尾徳洲会総合病院(大阪府)の緒方嘉隆・集中治療科部長が登壇。重症COVID-19に対するV-V ECMO中に、Near-apneic ventilation(無換気に近い管理)と腹臥位療法非導入の組み合わせで管理した症例の胸部CT変化を検討した。画像の評価をふまえ「網状影、蜂巣病変、牽引性気管支拡張など線維化を示唆する変化は乏しかったです」とまとめた。

「『要請しやすいRRT』とは何か?(1)」と題するパネルディスカッションでは、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の小山洋史・集中治療部部長が、従来3系統あった院内急変対応の要請経路を救急調整室(病院救急救命士)に一本化した取り組みを発表。「日常的に救急入電対応をしている病院救急救命士は、短時間での情報取得に長けており、MET(急変対応チーム)入電対応者として適任でした」。

「解はリモートにあり~遠隔ICU」がテーマのワークショップで発表したのは湘南鎌倉病院の神尾直・集中治療部部長。同院は22年4月に救命救急センター・外傷センター棟を新設。新棟にもICUを設けビデオ監視システムと情報の可視化による患者情報共有システムを構築した。

「タブレット端末を用いた遠隔監視を可能にしたことで、看護師の負担軽減につながりました」と成果を示した。神尾部長は「ICUが良ければ、病院が良くなる」をテーマとするパネルディスカッションでも口演。

「私がやらねば誰がやる?薬物療法のスペシャリストがやってるタスクシフト・シェアリング」をテーマとするワークショプでは福岡徳洲会病院薬剤部の立石裕樹副主任が登壇。同院で実践している医薬品に関連した血液・尿検査の代行入力PBPM(プロトコールに基づく薬物治療管理)を紹介し、「医師の負担軽減に加え、薬剤師業務の質的向上に寄与すると考えます」。

一般演題では岸和田徳洲会病院(大阪府)臨床工学室の真昌美・臨床工学技士(CE)が、COVID-19患者さんに対する吸入麻酔薬イソフルランと鎮静薬プロポフォールのせん妄比較について発表した。

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