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民間病院 初の常駐型救急ワークステーション 岸和田病院 「新・新館」竣工式でお披露目

2022.04.21

民間病院 初の常駐型救急ワークステーション
岸和田病院
「新・新館」竣工式でお披露目

岸和田徳洲会病院(大阪府)は3月19日、新・新館竣工式を挙行、併設の救急隊員常駐型救急ワークステーション(WS)も披露した。民間病院での常駐型救急WSは全国初(徳洲新聞調べ)。通常は公立病院に導入されるが、同院は岸和田市管内の救急搬送の約半数を受け入れてきた実績などが評価された。行政と団結し今後も救急医療機能の向上を目指す。

59床増床し400床規模に

新・新館の前で関係者がテープカット

消防署から出動する救急車と救急隊員が病院に滞在し、救急要請の際、必要があれば病院の医師や看護師とともに現場に向かうのが救急WSだ。多くは消防署が救急隊員を週に何日か病院に派遣するタイプで、徳洲会グループでも派遣型は湘南厚木病院(神奈川県)、湘南鎌倉総合病院(同)、福岡徳洲会病院、中部徳洲会病院(沖縄県)が開設している。

しかし、岸和田病院のように24時間365日、病院に救急隊員が常駐するタイプは、全国的に少なく、民間病院では初めて。今回、新・新館の立ち上げを機に同院から岸和田市消防本部に常駐型救急WSの設置を打診、救急隊員のスキルアップにつながると同署から快諾を得た。

竣工式冒頭の挨拶で医療法人徳洲会の東上震一・副理事長(同院総長)は、常駐型救急WS導入を受け、「高度な医療機能をもつ病院として、公立病院と同等の役割を担いつつ、民間病院の良さも発揮していきたい。来る東南海地震では泉州地域の災害医療の前線基地としての役割も果たしたいと思います」と一層の地域医療への貢献を誓った。同院は新・新館の竣工によって外来・病棟機能がより充実、近隣の徳洲会病院の病床を一部移し、59床増の400床になったことも明かした。

「救急隊員の常駐は、我々のやりがいにもつながります」と東上・副理事長

続いて同院の尾野亘院長が登壇、常駐型救急WSの最大の特徴は「教育」にあるとし、救急隊員が病院スタッフとともに切磋琢磨することに期待を寄せた。そのうえで、「今後はスーパーICU(特定集中治療室)を本館に設置し、さらにER(救急外来)機能を向上させたい」と熱い思いを吐露。

上江洲朝弘・名誉院長は、これまでの関係者の手厚いサポートに謝意を示し、「これで終わりではありません。今後も応援をよろしくお願いします」と呼びかけた。また、同院をはじめ徳洲会グループに多くの絵画を寄贈している故・仲村勇画伯の作品が、新・新館の廊下を彩っていることに触れ、あらためて謝意を表した。

ER機能拡張のため、さらなる改築計画を語る尾野院長

永野耕平・岸和田市長は同院が南大阪の重要な医療拠点となっていることを強調し、「常駐型救急WSの設置により、救急隊員がスキルアップを図り、救える命が増えることを期待しています」と笑顔。源勝利・岸和田市消防本部消防長は救急搬送件数が増加傾向にあるにもかかわらず、同院をはじめ近隣医療機関の協力により「当管内は約90%の搬送を地域内で完結できています」とアピール。なかでも同院が搬送件数の約半数を受け入れていることを明かしたたえた。

日中、救急隊員4人と指導救急救命士1人が滞在する救急WS

式後は新・新館の内覧会を実施、医療・消防関係者らが病室やスタッフステーションを見学した。東上・副理事長は「常駐型救急WSによって、より一層、行政との協力関係を深めることができました。当院は徳洲会グループ3番目の病院で、徳洲会創設者の徳田虎雄・名誉理事長の思いが色濃く残っています。その思いを今後も発展させていくのが我々の使命です」と力強く語った。

新・新館会議室は市民の勉強会や学会会場などにも利用。廊下には故・仲村画伯の「海の神シリーズ」を飾っている

同院の救急WSに常駐する救急隊員は、搬送業務に携わっている時間帯以外の日中は医師や看護師から、夜間は救急WS内で指導救急救命士から研修を受ける。源・消防長は「確実に隊員の基礎能力向上につながりますし、病院スタッフと顔の見える関係をつくれる意義は計り知れない」と語気を強め、「今後も医療機関との連携をより強固なものにし、市民の期待に応えたい」と意欲的だ。

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