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徳洲会グループ 未来予想図 AIやITを積極的に活用 業務効率化と質向上へ

2022.01.06

徳洲会グループ 未来予想図
AIやITを積極的に活用
業務効率化と質向上へ

患者さんが行きたい場所まで案内する院内誘導ロボ(湘南鎌倉病院)

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいる。DXとはIT(情報技術)やAI(人工知能)ツールなどを利活用し、業務効率化を実現することを言う。医療分野では2017年から厚生労働省がデータヘルス改革を推進、さらに新型コロナウイルス感染拡大も重なり、医療現場をDXによって変革する必要性が高まっている。

コロナ禍では徳洲会グループの多くの病院が、オンライン診療やAI問診など、さまざまなツールを導入。主に接触を避けることが目的だが、同時に事務作業の削減や業務の効率化、医療の質向上にも寄与している。

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は県から「新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業」の実施施設に選定され、フロア案内や入退院説明、院内誘導などに関するロボットの本格検証で6件、看護業務支援や搬送アシストなどに関するロボットの簡易検証で3件を実施。実装された際には、非臨床部門の業務効率化が大いに期待される。

徳洲会薬剤部では調剤業務を自動化するロボットの積極導入により、効率化や安全性向上を推進。グループ20病院がアンプルピッカー(注射薬自動払い出しシステム)を設置、仙台徳洲会病院も22年4月の新築移転時に導入予定だ。

中部徳洲会病院(沖縄県)はアンプルピッカーに加え、散剤管理ロボットや水剤管理ロボットも導入。業務効率化を促進したことにより、沖縄・離島ブロックの基幹病院として離島病院へのスタッフ派遣を安定的に行えるようになった。さらに、プロトコール(事前に取り決めた薬物療法決定手順)に基づく薬物治療管理(PBPM)も加速、「医師の働き方改革」に資するタスクシフト(業務移管)に寄与している。

中部徳洲会病院では輸液にも対応できるアンプルピッカーを導入

グループ全体の取り組みでは臨床意思決定支援システム(Clinical Decision Support Systems:CDSS)の開発を本格化する動きがある。CDSSとは医療者が個々の患者さんに対し、何らかの意思決定を行う際、役立つ情報を迅速に提供できるようデザインしたコンピューターシステム。判断する際に人間がもつ弱点(知識や考え方の偏り)を回避し、患者さんの安全確保や標準的医療の推進などが期待できる。

システム開発には主に臨床ビッグデータやAIを活用。グループ全体で推進するため委員会も設置し、委員長に湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の亀井徹正総長、事務局に徳洲会グループ全体のITを統括・推進する徳洲会インフォメーションシステム(TIS)が就いた。今後、グループ内外から委員を集め本格的に活動する計画だ。

TISがHAIPに加入

TISは医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP)に組合員として加入した。同組合は厚生労働相と経済産業相の認可の下、21年4月に発足した非営利共益法人。医療AIサービス提供、医療AIシステム開発支援の2事業を柱とし、医療現場や研究機関にとって“医療AIの総合窓口的な役割”を果たすとともに、日本で医療AIが普及・発展するための土台づくりを目指す。

TISは徳洲会のビッグデータを提供する考え。一般的に医療機関からデータを集めてもコードも形もバラバラで、そのままでは研究などに利用することは難しいが、徳洲会はコードを統一し精査したビッグデータを保有している。尾﨑勝彦社長は「当社でもAIを開発していますが、データを提供することで、より良いものができる可能性があります。膨大なデータを、より広く利活用していただくことは、日本のため、患者さんのためになり、徳洲会の理念にも合致します」と展望する。

ITやAIの利活用は業務効率化、医療の質・安全性の向上に寄与する一方、医療人の優しさや温もりを最大限に生かすためにも有用。効率化により生まれた余力を患者さんとの“触れ合い”に使い、今後も人の温もりを感じる医療を目指す。

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