「地域災害拠点病院」に指定 湘南鎌倉病院 日本DMATチームも発足
「地域災害拠点病院」に指定
湘南鎌倉病院
日本DMATチームも発足
「災害でも地域の最後の砦となる」と篠崎院長(左)、山本部長 屋上へリポートを有し災害時の広域搬送も
同拠点病院は、災害時に地域の医療機関を支援する機能を有し、重症・重篤な傷病者を受け入れるなど、医療救護活動で中心的な役割を担う病院。厚生労働省の基準では、同拠点病院は原則、二次保健医療圏ごとに1カ所となっているが、神奈川県の場合、人口や地域性などを考慮し複数の病院を確保。7月1日現在、35病院が指定。
求められる機能は、①救命医療を行うための高度診療機能、②被災地からの重症傷病者の受け入れ機能、③傷病者の広域後方搬送への対応機能、④医療救護班の派遣機能、⑤地域医療機関への応急用医療資機材の貸し出し機能――の5つだ。
篠崎伸明院長は「横須賀・三浦医療圏には、当院を含め3施設の災害拠点病院がありますが、東西に長い医療圏の西側で、ヘリポートを有するのは当院のみなので、広域搬送などで、その役割は大きいと考えます。災害時は地域の医療機関の協力が重要になりますので、これまでの関係を大切にしながら、より強固な連携を築いていきたい。救急だけでなく災害でも、地域の最後の砦となれるように頑張ります」と意気込みを見せている。
これまで同院は、活動が県内に限定される神奈川DMAT─Lを有していたが、同拠点病院の指定と同時に、日本DMATも発足した。DMATとは医師、看護師、業務調整員で構成、災害急性期に活動できる機動性をもち、専門的なトレーニングを受けた医療チームだ。日本DMATは厚労省が管轄となり、活動範囲が日本全国に及ぶ。本来はもう少し早い発足を目指していたが、コロナ禍で日本DMAT隊員養成研修の日程が延期されたことによる。
山本真嗣・救急総合診療科部長は「当院にはTMAT(徳洲会医療救援隊)のコアメンバーもいますが、それぞれの特性、役割を考え、柔軟に活動していければ良いと考えます。また、1チームだけでは、メンバーの所属する部署の状況によっては、有事に動きにくい場合もあるので、もう1チーム発足させる計画を進めると同時に、各部署への理解を深めていきたい」と明かす。
今後について「施設要件は満たしていても、ソフト面の強化が必要になります。DMATとして活動するための能力、院内のバックアップ体制、病院の災害本部としての機能など、あらためて整備、ブラッシュアップしなければなりません」と強調する。
同院は県が主体となり10月中旬に開催する「ビッグレスキューかながわ」に、災害拠点病院として運営に参加する予定。これは大規模災害発生時の初動対応での医療救護活動や救出救助の実践的訓練だ。院内外で災害訓練も企画、運営し、院内の連携や地域連携を強固にする。