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徳洲会病理部会 最新知識共有し研鑽 第8回学術集会開く

2021.12.16

徳洲会病理部会 最新知識共有し研鑽
第8回学術集会開く

徳洲会病理部会は11月21日から2日間、鳥取県で開かれた第60回日本臨床細胞学会秋期大会の会期に合わせ第8回学術集会を開催した。参加人数を抑え、感染対策を徹底したうえで実施。来年度、福岡徳洲会病院に入職予定の鍋島一樹・福岡大学医学部病理学講座教授の特別講演をはじめ、さまざまなテーマの講演・発表があり、全国の徳洲会病院から参加した医師や臨床検査技師らは最新知識を共有し研鑽(けんさん)した。

「充実したディスカッションを」と青笹・最高顧問 「FISHの有用性と注意点を知り適切な運用を」と鍋島教授

冒頭、青笹克之・徳洲会病理部門最高顧問は「病理部会の活動に対し徳洲会グループから高い評価を得ています。本日は充実したディスカッションができることを期待しています」と挨拶。さらに、青笹・最高顧問が監修を務め、成田富里徳洲会病院(千葉県)の加藤拓・臨床検査技師と八尾徳洲会総合病院(大阪府)の岩﨑由恵・臨床検査技師が編集補助として制作した『細胞診鑑別アトラス』(医歯薬出版刊)の発刊を報告した。

まず鍋島教授が「悪性胸膜中皮腫の診断における免疫染色とFISHの有用性」と題し特別講演を実施。悪性胸膜中皮腫とは、肺を包む膜(胸膜)を覆う中皮細胞に発生する悪性腫瘍で、発症にはアスベスト(石綿)が関与。早期診断には胸膜生検のほか、80%以上が胸水で初発するため胸水細胞診が求められる。

近年、中皮腫は遺伝子変異に基づく手法(免疫染色とFISH)による腫瘍性の認定が可能になった。そこで実際の症例や鑑別診断のための病理画像を提示し解説。さらに免疫染色を行う際に存在する落とし穴などにも触れ、「FISHの有用性と注意点を知り、適切な運用ができるようにしてください」と呼びかけた。

次に八尾病院の中塚伸一・病理診断科部長が「免疫不全、免疫異常に関連したリンパ腫」をテーマに教育講演。がんの発生、発育、維持には宿主生体内の免疫環境が深くかかわっている。近年、免疫抑制剤、分子標的薬に関連したリンパ増殖性疾患が知られるようになり、臓器移植やAIDS(後天性免疫不全症候群)が少ない日本でも、悪性リンパ腫など免疫不全に関連した腫瘍に遭遇することが多くなった。

免疫不全関連リンパ増殖性疾患はウイルスとの関連が特徴としてある。また、薬剤の減量や中止による免疫不全状態の軽減により、腫瘍が退縮することがある。「一般的なリンパ腫でも、腫瘍微小環境での免疫抑制が腫瘍発生の機序に果たす役割は少なくないと考えられます。免疫不全関連リンパ増殖性疾患が、リンパ腫の発生機序を理解するうえで大きなヒントを与えてくれる可能性に期待したいと思います」とまとめた。

続いて、「膵(すい)腫瘍の細胞診」をテーマにしたシンポジウムでは、樋口佳代子・沖縄協同病院病理診断科長が座長を務め、加藤・臨床検査技師、福岡病院の古川朋美・臨床検査技師、宇治徳洲会病院(京都府)の江口光徳・臨床検査技師がそれぞれ発表した。

2日目は一般演題として6題の発表があった後、出雲徳洲会病院(島根県)の丸山理留敬・病理診断科部長が「今年、徳洲会グループに入職し、初めての学術集会でしたが、レベルの高さに驚きました。来年以降、より多くが集まり、さらに部会が発展していくことを願っています」と挨拶し、閉会した。

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