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東京都 急性大動脈スーパーネット登録
東京西病院 循内6人・心外3人に体制強化

2021.07.27
東京西徳洲会病院の循環器センターは2009年4月、当時、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の循環器科医長だった堂前洋医師(現・東京西病院副院長兼循環器センター長)が単身で乗り込み一から立ち上げた。12年の歳月を経て着々とチームは拡大、4月から循環器内科に2人、6月から心臓血管外科に1人増員し体制を強化した。7月1日には急性大動脈スーパーネットワークへの登録が承認。同センターは今後も地域医療に貢献しながら、若手医師への教育にも尽力していく。

(右から)堂前副院長、嶋田部長、田中医師、橋冨裕・循環器内科部長

堂前副院長は「循環器センターの体制を強化しました。循環器内科では4月から湘南鎌倉病院で後期研修を終えた医師2人が入り6人体制に、心臓血管外科では6月に心臓血管外科専門医資格をもつ医師が入り、専門医2人を要する3人体制になりました」とアピールする。

さらに、7月1日に急性大動脈スーパーネットワークへの登録が承認。これは急性大動脈疾患(急性大動脈解離、大動脈真性瘤(りゅう)破裂)の患者さんの効率的な搬送を目的に、東京都が専門施設を登録する制度。同院は今後、東京都西部の急性大動脈疾患の重症患者さんを積極的に受け入れていく考えだ。

同ネットは一定以上の治療実績があり、循環器内科と心臓血管外科が協力して緊急診療体制を取れる施設が対象。承認には3年間で急性大動脈疾患の治療実績が30例必要だが、同院心臓血管外科は昨年だけで15例の治療実績がある。




冠動脈バイパス術を行う嶋田部長

6月から心臓血管外科専門医資格をもつ岡元崇・心臓血管外科副部長が入職。嶋田直洋・同科部長は「当科で診療できる範囲も数も広がりますので、心強く思います。ネットワークに登録されたからには、地域医療に対する責務がありますので、搬送されてきた患者さんをしっかりと診ていきたい」と誓う。

また、同院は2019年にハイブリッド手術室を開設。同手術室は心臓や脳の血管撮影などに対応した高性能のX線透視装置を配備、カテーテル(細い管)を使う内科的治療(血管内治療)と外科手術をひとつの部屋で行うことができる。

今後、TAVI(経皮的大動脈弁置換術)やMitraClip(経皮的僧帽弁接合不全修復システム)などの実施も視野に入れているが、TAVIの施設基準には心臓血管外科専門医が3人必要。嶋田部長は「ただ人数を集めるためだけに専門医を入れるのではなく、症例数を増やし、当院で働きたくなる環境を整えることが大切だと思います。そのためにネットワークへの登録は追い風になります」と展望する。

循環器内科には、4月に田中源八医師と平光一貴医師が入職。田中医師は「当院は症例数が多く、堂前副院長をはじめ上級医のサポートも手厚いです」と満足げ。さらに「離島医療に興味があり、今も石垣島徳洲会病院(沖縄県)に定期的に応援に行っていますが、内科救急に強い医師が求められていると感じます。東京西病院では臨床のなかで、いろいろな経験ができるため、即戦力になれる近道だと考えています」と意気込む。

新しいカテ室で冠動脈治療を行う平光医師(左)と、指導する阿多智之・循環器内科部長(中央) 線量マッピング機能により被曝線量を可視化

体制強化に合わせて心臓カテーテル室も一新。同院がオープンした05年から使用している血管撮影装置が老朽化したため、キヤノンメディカルシステムズの最新装置に入れ替えた。同装置は血管像の視認性の向上に加え、石灰化など病変やガイドワイヤーの視認性も向上、ステント強調モードも搭載し、診断・治療に有用な画像が得られる。

術者の関心領域外の線量を大幅に低減する「スポット撮影」機能も装備。さらに線量マッピング機能により、被曝線量の可視化も可能だ。また、カテーテル室内では血管内の映像に加え、心電図モニターや電子カルテの情報まで集約的に確認できるようになった。

今後の展望について堂前副院長は「現在も湘南鎌倉病院や湘南厚木病院(神奈川県)の初期・後期研修での循環器内科研修を受け入れていますが、当院は全国のグループ病院にも門戸を開いています。今後も豊富な症例と最新の設備で、若手医師の育成に力を入れていきたい」と意気軒高だ。

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