太田・千葉病院外科部長 日本ヘルニア学会のJHS賞 腹壁ヘルニア新治療法で受賞
太田・千葉病院外科部長
日本ヘルニア学会のJHS賞
腹壁ヘルニア新治療法で受賞
「患者さんのQOL維持・向上へ努力します」と太田部長
千葉徳洲会病院の太田智之・外科部長兼ヘルニアセンター長は、第18回日本ヘルニア学会(JHS)学術集会でJHS賞を受賞した。「ビデオシンポジウム1 発生部位別に考える、腹壁ヘルニア手術のベストプラクティス」のセッションで、「Endoscopic Rives-Stoppa法の治療成績」をテーマに口演、手術動画を供覧しながら手技を解説し、手術成績を紹介した。JHS賞は、とくに優れた演題の発表者ひとりに授与される。「民間病院の外科医がこのような賞をいただけるのは本当に励みになります」と太田部長は謝意を表す。
「同法は、腹壁ヘルニアに対する日本では新しい治療法で、腹腔(ふくくう)鏡で腹直筋と腹膜の間にメッシュ(シート状の人工補強材)を置き、孔をふさぐという方法です。欧米ではゴールドスタンダード(標準治療)で、以前は開腹でも行われていました。腹腔鏡で行うため低侵襲で回復が早く、腹腔内にメッシュを留置しないため、腸閉塞や消化管穿孔(せんこう)、感染など合併症を予防でき、とても有用な術式です」(太田部長)。
腹腔鏡手術を行う太田部長
学術集会では、このような新規性や有用性が評価された。
太田部長は2016年にイタリアで開かれた学会で同法を知り、「患者さんのために」との思いで技術を習得後、17年から実施。18年に千葉病院に着任以降、22人の腹壁ヘルニア患者さんに同法で手術を施行。鼠径(そけい)ヘルニアの手術は年間約150例に上る。このほか悪性疾患や救急症例の治療も手がける。
太田部長は「ヘルニアは良性疾患であり、治療に対する患者さんの期待値は高いです。これからも患者さんのQOL(生活の質)維持・向上のため努力していきたい」と抱負を語っている。