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湘南藤沢徳洲会病院 低侵襲な大腸がん手術を積極推進  NOSE技術×ロボット手術でシナジー発揮

2026年(令和8年)05月18日 月曜日

湘南藤沢徳洲会病院 低侵襲な大腸がん手術を積極推進  NOSE技術×ロボット手術でシナジー発揮

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の柳田剛・消化器外科部長は、ロボット手術に「NOSE(経自然孔的標本摘出術)」を組み合わせた低侵襲な大腸がん手術に取り組んでいる。この技術は、従来の手術では必要だった腫瘍摘出のための5~10cm程度の腹部切開を必要とせず、肛門など身体に本来備わっている孔(自然開口部)から摘出する方法。術後の痛み軽減や早期回復などに効果があり、患者さんのQOL(生活の質)向上に寄与する。

「がん治療を受ける患者さんの希望がかなうよう、最善の準備を」と柳田部長 ダヴィンチXiとNOSEを組み合わせた大腸がん手術を行う柳田部長(左奥)

通常、大腸がんに対する腹腔鏡手術やロボット手術では、腹部に5~6カ所の小さな孔(ポート)を開けて手術を行う。その際、切り取った腫瘍を体外に取り出すには、5~10cm程度の腹部切開が避けられなかった。これに対し、NOSEは新たな切開創をつくらず、身体に本来備わっている孔(肛門)から腸管を開き腫瘍を摘出。体表面に残る傷は小さな孔のみとなり、より患者さんの負担を抑えた低侵襲な手術を実現している。

NOSEの考え方自体は以前から存在していたが、従来の腹腔鏡手術では一般的ではなかった。従前の手技では不要だった正常臓器に切開を加えるため、多くの外科医が抵抗感をもち、また手技の難易度が高く手術時間が延び、結果的に患者さんの負担が大きくなることが、その理由だ。

「腹腔鏡手術は長い棒を操るような操作であり、腫瘍のある箇所を切り離した後、腸管を切開し、そこから標本を摘出した後に、再度、縫合する手技は難易度が高く術者を選ぶ手技」と柳田部長は指摘する。

その後、「ダヴィンチ」などのロボット手術が普及。ロボット手術は医師の手の動きをミリ単位で再現し、人間の関節以上の可動域をもつ。さらに3Dの高精細な視野により、繊細な操作が可能となったことで、NOSEは実行可能な手技となった。それでもNOSEを組み合わせた技術は全国的に症例が少なく、熟練を要する。

「手間や技術を要するNOSEを行う理由は、患者さんのメリットが大きいからです。おなかを5cm切るのと、まったく切らないのとでは、痛みのレベルが異なります。また、開腹しないことで腸管が外気に触れる時間を最小限に抑えられ、水分の蒸発や物理的刺激を回避できます。その結果、合併症リスクの軽減や術後の腸管回復が早まり、早期の食事再開や退院が可能です」と、柳田部長はロボット手術とNOSEをかけ合わせる意義を強調する。

徹底的な準備がQOL向上に

国内の大腸がん罹患数は増加傾向にあり、年間15万人以上が新たに診断されている。根治はもとより、術後の排尿・排便機能などの維持が重視されるなか、柳田部長は術前の対話を重視。「その治療が患者さんにとって最善か。術後の生活に何を望むかを聞き、一人ひとりに適した方針を検討している」という。

柳田部長は手術を「Planned Injury(計画された外傷)」と考え、事前の緻密な準備をチームにも求めている。消化器外科のダヴィンチチームでは、チャットツールを用い、手術時のタイムテーブルやポート配置、使用器具のリストを看護師や臨床工学技士らと事前に共有。「手術室の主役は患者さんであり、私たちは名脇役でなければならない。患者さんは治って帰ることを夢見て来られているので、その期待に応えるために徹底的な準備をしています」と、チームで予習・復習を徹底している。

今後はこの技術が選択肢のひとつになると考えており、「学びたい方がいれば、どこへでも教えに行きますし、見学も歓迎します。先端的な医療が一部の施設だけのものではなく、患者さんにとって当たり前の選択肢になるよう、これからも挑戦を続けていきたい」と意気軒高。「がんの手術を受けた患者さんの希望が、合併症で絶望に変わらないよう、できる限りの配慮と準備をして治療を行っていきたい」。

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