日本消化器病学会 次世代型消化器病学を探求 徳洲会グループから7演題発表
日本消化器病学会 次世代型消化器病学を探求 徳洲会グループから7演題発表
第112回日本消化器病学会総会が4月16日から3日間、福井県と石川県で開かれた。テーマは「次世代型消化器病学を探る」。徳洲会グループは7演題を発表した。主題セッション中心に紹介する。
便通異常症の治療について発表する伊藤部長
山本医長は導入した「ダヴィンチ5」の治療について報告
パネルディスカッションでは、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の伊藤慎吾・外科部長が「NDBオープンデータ解析からみた新規便秘薬処方の実態とガイドライン普及の影響」と題し発表。
近年、『便通異常症診療ガイドライン』の改訂や新規薬剤の登場で、以前と比べ治療の状況が変わっていることを指摘。外来に限定して3剤をピックアップし、厚生労働省のNDBオープンデータから2019~23年度の全下剤処方に占める処方件数と順位の推移を検討した。
3剤のいずれも19年以降の処方件数が増加し、とくに23年度に飛躍的な伸びを示していることなどから、伊藤部長は治療の選択肢が変化している可能性を示唆するとともに、新規薬剤は高コストのため、今後は患者さんの背景や併用薬をふまえた“個別化処方”を検討する必要性を訴えた。
ワークショップでは、同院の山本寛大・肝胆膵外科医長が「da Vinci 5導入による上部消化管外科手術成績の初期比較検討―da Vinci Xiとの比較―」をテーマに発表した。
まず25年2月に手術支援ロボット「ダヴィンチ Xi」、同年7月に次世代機種の「ダヴィンチ 5」を導入し、2台体制で上部消化管外科手術を行っている状況を説明。ダヴィンチ 5は、さらなる術者の負担軽減と手術精度向上が期待されていることを紹介し、同機器導入後の手術成績や有用性などを検討した。
25年2~9月までに実施したダヴィンチ支援下上部消化管手術40例の手術時間を術式別に比較した結果、5は幽門側胃切除術で手術時間短縮の可能性があることを示す一方、噴門側胃切除、胃全摘、食道亜全摘術では、さらなる症例の集積が必要なことを報告。今後は手術時間に加え、出血量や合併症、学習曲線といった指標も含めて検討し、5の特徴的機能がもたらす臨床的利点・課題を明らかにすることに意欲を見せた。
一般演題のミニオーラルでは、同院の斎藤力専攻医が「症候性肝嚢胞に対する超音波内視鏡下経消化管的ドレナージの有用性」と題し発表。
研修先の宇治徳洲会病院(京都府)で施行した症候性肝嚢胞に対するEUS-TD(超音波内視鏡下経消化管的ドレナージ)の治療成績について、同期間に施行した経皮的ドレナージ症例の治療成績と比較検討した結果、症候性肝嚢胞に対するEUS-TDは手技の専門性を要するものの、低侵襲で有用なドレナージ法である可能性を指摘。ただし腹膜炎の合併症があり、瘻孔拡張は最小限の鈍的拡張にとどめる注意が必要なことも示した。
和泉市立総合医療センター(大阪府)の田中肖吾・肝胆膵外科部長は「当科におけるロボット支援下肝切除の短期治療成績」がテーマ。
同科で23年4月~25年9月に行った肝腫瘍に対するロボット支援下肝切除34例と腹腔鏡下肝切除を施行した20例を検討した結果、ロボット支援下肝切除は手術時間が長い傾向だったことから、さらなる修練の必要性を示唆した。術後の短期成績は腹腔鏡下肝切除症例と差は認められなかったことを説明した。
宇治徳洲会病院の小寺徹・健診センター顧問は「H. pylori感染を合併した自己免疫性胃炎の内視鏡診断の現状と課題」と題し発表。自己免疫性胃炎(AIG)にH. pylori(ヘリコバクター・ピロリ菌:Hp)感染を合併したA+B型胃炎は、Hp感染胃炎と内視鏡的鑑別が困難で、Hp自然消失後や除菌後に進行期AIGが顕在化して診断されるケースが少なくない。
そこでA+B型胃炎の除菌前後の内視鏡像変化を検討した結果、①Hp感染胃炎除菌後に胃体部萎縮の進展を認めた場合はAIGの顕在化を疑う必要がある、②いくら状粘膜がA+B型胃炎の内視鏡診断に役立つ可能性がある、③Hp自然消失後や除菌後に顕在化した進行期AIGでは前庭部胃炎が改善し、Hp未感染例と類似した内視鏡像を呈する可能性があることを示した。
仙台徳洲会病院の神賀貴大・外科部長は「保存的治療で症状が軽快した巨大十二指腸症の1例」と題し、症例を報告した。巨大十二指腸症は十二指腸が著明に拡張するまれな疾患。原因は十二指腸壁や十二指腸内腔の異常などが挙げられ、原因不明の場合にのみ特発性巨大十二指腸症と診断される。神賀部長は自院で経験した原因不明の巨大十二指腸症について説明。今回は初発で保存的治療により軽快したものの、症状が再燃した場合は外科的治療も考慮する必要性を示唆した。
「外科、内科から診る胆嚢ドレナージ―Hot Axiosを用いたEUS-GBD―」と題するランチョンセミナーでは、湘南鎌倉病院の小泉一也副院長が消化器内科、村田宇謙・救急総合外科部長が外科の立場から、瘻孔形成補綴材「Hot AXIOS」を用いた超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ術(EUS-GBD)について講演した。同手技は2025年から施設・術者限定で導入された急性胆嚢炎に対する先進的な内視鏡治療法。同院は全国に先駆けて取り組んでいる。

