竹田・大阪大学IFReC拠点長 「ヒト免疫学」で疾患克服へ 世界屈指の研究環境から得た成果
竹田・大阪大学IFReC拠点長 「ヒト免疫学」で疾患克服へ 世界屈指の研究環境から得た成果
竹田潔・大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)拠点長は「大阪大学IFReCとヒト免疫学研究」をテーマに講演した。冒頭、大橋壯樹・副理事長がIFReCを紹介。竹田拠点長は世界屈指の研究環境を誇るIFReCの概要や、最新のヒト免疫学研究の成果として、炎症性腸疾患(IBD)に関する知見について詳述した。
「ヒトの疾患克服に資する免疫学研究を加速させていく」と竹田拠点長
IFReCは2007年に文部科学省のWPIプログラムの一環として設立し、免疫学、インフォマティクス、イメージングの3分野を融合させた世界トップレベルの免疫学研究機関。現在、31人の主任研究者を含む約170人の研究者が在籍、その約25%が外国人、40%以上が女性研究者という多様性に富んだ環境で、あらゆる免疫学分野を網羅する研究を行っている。
これまでの研究成果はきわめて高質で、主要な論文引用指数で米国やドイツ、オーストラリアなどの世界の主要な免疫学研究所を凌駕。25年には、同センターの坂口志文・特別栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したが、「坂口・特別栄誉教授だけでなく、世界的な賞を受賞した研究者が多数在籍し、日々研究に励んでいます」とアピールした。
竹田拠点長は19年に同役職に就任して以来、「ヒト免疫学研究」を重点項目のひとつとして推進。これまでの免疫学研究は主にマウスを用いて行われてきたが、マウスとヒトでは免疫機構が異なる部分があり、基礎研究の成果をヒトの疾患克服に直接応用することが難しいという課題があった。
徳洲会グループなどと連携を模索
そこでIFReCでは、大阪大学医学部附属病院と連携し、ヒトの臨床サンプルを直接解析する体制を構築。1億円を超える最新の単一細胞解析装置を導入し、ヒトの免疫機構を詳細に解析している。一方で、大学病院だけでは臨床サンプルの数に限りがあることから、「疾患克服に向けた研究を推進するため、多くの症例をもつ徳洲会グループをはじめとする臨床施設との連携を模索しています」と会場の関係者に協力を求めた。
具体的な研究例として、IBDに関する知見を紹介。クローン病や潰瘍性大腸炎といったIBDは、日本でも患者数が急増している難病だ。単一細胞解析の結果、クローン病では特定の転写因子によって誘導される病原性細胞が関与していることや、潰瘍性大腸炎では腸管のバリア機能を維持する特定の分子の欠損が、腸内細菌由来の代謝物と相まって、発症にかかわっている可能性が明らかになってきた。
竹田拠点長は「臨床サンプルを詳細に解析することで、疾患の根本的な原因解明や新しい治療法の開発が期待されます。今後も臨床現場との連携を深め、ヒトの疾患克服に資する免疫学研究を加速させていきます」と決意表明し、講演を締めくくった。

