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DPC特定病院群 徳洲会グループ11病院が指定 大学病院本院に準じた高い診療機能

2025年(令和7年)06月30日 月曜日

DPC特定病院群 徳洲会グループ11病院が指定 大学病院本院に準じた高い診療機能

2024年度に続き25年度も徳洲会グループ11病院が厚生労働省からDPC特定病院群の指定を受けた(表)。DPCは診断群分類(傷病名や治療内容などによる分類)ごとに定めた包括点数に基づく急性期入院医療の定額支払い方式を指す。厚労省は急性期病院であるDPC対象病院を、大学病院本院群、同群に準じた高い診療機能を有する特定病院群、それ以外の標準病院群の3群に分類。特定病院群への指定は、地域の中核的な高度急性期病院であることを示す指標としての意味をもつ。

全特定病院群のなかで救急補正係数が最高値だった宇治徳洲会病院は、高度救命救急センターに指定。写真はハイブリッドER

厚生労働省によると24年6月時点でDPC対象病院は全国に1,786病院ある。大学病院本院群82病院、特定病院群178病院、標準病院群1,526病院。特定病院群は全体の1割で、市中病院には狭き門だ。

指定を受けるには、実績要件に関して厳しい基準をクリアする必要がある。具体的には①診療密度、②医師研修の実施、③医療技術の実施(外保連、特定内科診療)、④補正複雑性指数──の4要件だ。初期研修医の育成に力を入れるとともに、重症患者さんを多く受け入れ、外科系・内科系ともに難易度の高い治療に取り組んでいる病院が指定を受けやすい仕組みとなっている。各地域の基幹病院を評価するための制度と言える。

DPC対象病院は、診療体制や診療実績がさまざまな観点から評価され、「機能評価係数Ⅱ」という係数が割り当てられる。これは、地域医療係数、効率性係数、複雑性係数、カバー率係数を総合して算出される。

地域医療係数は5疾病6事業などに対する体制評価・定量評価の係数、効率性係数は各医療機関の在院日数短縮の努力を評価する係数。複雑性係数は治療の難しい複雑な病状の患者さんを多く診療している医療機関を評価する係数、カバー率係数はさまざまな疾患に対応できる総合的な体制を評価する係数だ。

このほか係数には、重症患者の救急受け入れに貢献している病院を評価する救急補正係数や、医療機関の人員配置や医療機関全体として有する機能などを評価する機能評価係数Ⅰがある。

高難度・新規技術導入に注力

徳洲会は各病院と医事部会が連携し、係数を高めるための活動を計画的に推進。特定病院群の指定取得も進めてきた。徳洲会医事部会の岸良洋一部会長(一般社団法人徳洲会事務部長)は「すべての超規模病院(医業収益に基づくグループ内の病院分類)が指定を受けることを目標にして取り組んできました。おおむね指定を取得できましたが、一部、基準に達していない病院があるため、来年度はそれら病院の特定病院群入りを目指します」と抱負を語る。

医事部会は各病院の診療密度や複雑性係数など基準項目の数値を算出し、各項目のデータを分析するなどサポートしている。

今年度、機能評価係数Ⅱと救急補正係数の合計値がグループで最も高いのは宇治徳洲会病院(京都府)だ。両係数ともに前年度よりアップし、全特定病院群のなかで救急補正係数は1位だった。同院は18年以降、特定病院群の指定を継続している。

末吉敦院長は「たとえば、病床という限られた医療資源を有効活用するための指標となっている効率性係数は、以前から入退院データの分析を行い、DPC入院期間Ⅱ(全国平均に近い在院日数)以内の退院となるよう各部署にお願いしています。また、複雑性係数については、診療内容を正確に反映した適正なコーディング(診断群分類の選択)をしていただくように医局会でお願いしています」と取り組みを明かす。

徳洲会の特定病院群で機能評価係数Ⅱが最高値だったのは湘南鎌倉総合病院(神奈川県)。全特定病院群のなかでも全国32位と高位に位置する。同院はDPC対象病院を3群に分類する制度が始まった12年から特定病院群(当時はDPC病院Ⅱ群と呼称)を継続。

「医療技術の実施」に関する実績要件について、同院の芦原教之・事務部長は「外科系では高難度の手術をどれだけ実施しているかが問われるため、ロボット(ダヴィンチ)手術や心臓血管外科の胸腔鏡下手術、肝胆膵領域の外科手術など高難度・新規技術の導入に力を入れています」と説明。続けて「内科系は対象疾患である特定内科診療25疾患のうち、ほとんどの疾患について専門内科による診療体制を確立し、積極的に患者さんを受け入れています。結果として要件を満たすことができています」とアピールする。

また、機能評価係数Ⅱのうち効率性係数は、クリニカルパス(標準化された診療計画)の積極的な活用や入院早期から退院支援を行うための体制充実を図るなど、病院全体で平均在院日数の短縮に取り組んでいる。カバー率係数は「とくに副傷病名の算定漏れがないよう医事課と診療情報管理室が協働して取り組んだ結果、算定DPC数が増加し今年度は係数上昇を達成できました」(芦原・事務部長)。

複雑性係数などが高くグループ内でも機能評価係数Ⅱが上位に入った名古屋徳洲会総合病院は20年から特定病院群を継続。

同院の肆矢幸輝・医事課長は「当院は許可病床350床で300床が急性期病床という中規模病院ですが、心臓血管外科や脳神経外科など外科系の診療科に強みがあります。こうした当院の特徴が反映され、診療密度や複雑性係数は高値を維持できています。一方で、実績要件の特定内科診療は弱い部分ですので、漏れがないよう正確なコーディングの実施で医師に協力いただいています」と明かす。

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