吹田徳洲会病院 基幹型臨床研修病院に指定 総合的な能力もつ医師育成目指す
吹田徳洲会病院
基幹型臨床研修病院に指定
総合的な能力もつ医師育成目指す
徳洲会グループで22施設目
「若い医師が院内にいると活気が出ます」と高橋院長 指導医(左)が見守るなか、縫合の練習をする初期研修医
吹田病院が基幹型臨床研修病院を目指した理由について、高橋俊樹院長は「若い医師が院内にいると活気が出ます。指導する医師も、あらためて自分の仕事を体系的に見直す必要が出てきて、気が引き締まります。メディカルスタッフにも緊張感が生まれます。また、リスクマネジメントも一層重要になるため、院内の規律が正され、病院にとっては良いことばかりです」と目を細める。
同院はこれまで協力型臨床研修病院として、松原徳洲会病院(大阪府)や岸和田徳洲会病院(同)などから、主に産婦人科研修を受け入れてきた。産科は年間約250件と分娩数が多く、婦人科では内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」手術に積極的なのが特徴。また、がん医療では、化学療法や放射線治療にも対応可能なうえ、中部徳洲会病院(沖縄県)と連携し、がん疼痛治療にも注力している。
「基幹型臨床研修病院の指定の基準」には「協力型臨床研修病院として、研修医に対して2年間臨床研修を行ったことに相当する実績があること」とあり、同院は主に産婦人科研修で指導経験を重ねてきた。
しかし、2021年3月に指定基準が「研修医1人当たりの直近5年の研修期間が平均8週以上となることを必須とするとともに、複数の必修分野を担当することが望ましいことなどを総合的に判断するものであること」に改定。そこで同院では、小児科の入院受け入れを開始したのを機に、小児科研修の受け入れも開始した。
新潟県の“たすきがけ”が寄与
また22年には、徳洲会グループが新潟県と臨床研修での連携をスタート。同県が創設した「県外たすきがけプログラム」に吹田病院も参加し、昨年4月から11カ月間、新潟県の病院から初期研修医を受け入れている。これに際し、研修医控室を設置するなど院内の研修環境を見直し、小児科と産婦人科に加え、内科、外科、救急科の指導体制を整備。高橋院長は「新潟県との連携が、基幹型臨床研修病院の指定に向けた院内整備に果たした役割は大きいです」と明かす。
今後は、さらなる院内設備やホームページの整備、研修医説明会などへの積極的な参加に取り組むと同時に、研修プログラムのブラッシュアップを図る。来年度に募集、マッチングを行い、25年度から基幹型臨床研修病院としての研修が始まる。
高橋院長は「指導医の研修医受け入れに対する温度を上げていきたい。すでに30人以上が指導医講習会を受講していますが、ほかに医療講演や院内研修も“人に指導する”ための良いトレーニングになりますので、積極的に活用していきたいと思います」と意欲的。さらに「ゆくゆくは初期研修が終わり、専攻医になっても当院で研修をしてもらえるように、グループ内で連携するなどスケールメリットを生かしていきたいです」と展望する。