岸和田病院消化器内視鏡チーム 帯広病院でESD JAPAN 早期がん検査・治療を院内完結
岸和田病院消化器内視鏡チーム
帯広病院でESD JAPAN
早期がん検査・治療を院内完結
大腸ESDを施行する露口医師(左から2人目) 内視鏡画像を指し示しながら助言する井上副院長(右から2人目)。その右が星川院長
「(内視鏡用マウスピースを)軽くかんでくださいね。お顔をこちらに向けて、楽にしてくださいね」。岸和田徳洲会病院(大阪府)消化器内科の露口恵理医師は、ベッドに横になる患者さんに優しく話かけた。ここは大阪から直線距離で約1,200km離れた帯広徳洲会病院(北海道)の内視鏡室だ。
井上太郎・副院長兼内視鏡センター長が率いる岸和田病院消化器内視鏡チーム(約40人)は、離島・へき地を中心に多数のグループ病院に対し、積極的に応援診療を実施している。この日も2日にわたる日程で、早期がんに対する治療法であるESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)と、上下部内視鏡検査を行うために来道。全国で応援診療を行っていることから、“ESD JAPAN”と称し、活動を盛り上げながら続けている。「治療しっ放しではなく、その後のフォローも大事であるため、継続的な応援を大切にしています」と井上副院長は強調する。
今回の応援メンバーは井上副院長、露口医師、帯広市出身の星川聖人・瀬戸内徳洲会病院(鹿児島県)院長の3人。星川院長は2022年11月に院長に就任以降も、岸和田病院消化器内視鏡チームの一員として、瀬戸内病院を守りながら、継続して応援診療に取り組んでいる。星川院長は「都市部と変わらない医療を離島・へき地に届けたい」と意欲的だ。
帯広病院の大下まり子・消化器内視鏡技師は「当院には消化器内視鏡を施行できる常勤医師がいないため、とても助かっています。おかげで早期がんであれば当院で完結することが可能です」と笑顔。札幌東徳洲会病院や出雲徳洲会病院(島根県)からも応援を得ているという。
主に星川院長、露口医師が治療・検査を行い、井上副院長は横で内視鏡画像を凝視しながら、時折、技術的なアドバイスを送ったり、自ら内視鏡を操ったりし、熱心に指導。初日にESD(胃、食道、大腸)計4件、上下部内視鏡検査4件を実施した。2日目は露口医師のみ同院にとどまり検査13件を施行。緊急内視鏡(止血)を行う場面もあった。帯広病院の棟方隆院長は「これからもグループの力を借りながら、地域のために貢献していきたい」と抱負を語る。