中部徳洲会病院 専攻医がダヴィンチ執刀 教育・スキルアップの環境充実
中部徳洲会病院
専攻医がダヴィンチ執刀
教育・スキルアップの環境充実
ダヴィンチ手術に注力する内間部長(左)、村上専攻医 中部徳洲会病院は22年11月から大腸がん手術でダヴィンチを活用
術者としてダヴィンチ手術を行うには、ダヴィンチを製造販売するインテュイティブサージカル社のトレーニングコースを修了し、ロボット支援下内視鏡手術のcertificationと呼ばれる認定資格の取得が必要。加えて、術者は消化器外科領域のロボット手術10例の助手経験を積むことが求められ、同学会が領域・臓器ごとに認定しているロボット支援手術認定プロクターの指導の下で、初めてロボット支援内視鏡手術を行うことができる。
内間部長は19年に直腸切除術のプロクター、22年に結腸切除術のプロクター資格を取得。これまで自身の執刀は180例以上、プロクターとして指導を行った症例も含めると経験症例は350例以上に上る。岸和田徳洲会病院(大阪府)でも指導を行っている。
中部徳洲会病院は12年に沖縄県で初めてダヴィンチを導入し、泌尿器科や婦人科領域で活用。22年11月から消化器外科領域でも、ダヴィンチを用いた大腸がん(直腸がん、結腸がん)の手術を開始した。村上専攻医のダヴィンチ手術1例目は23年9月28日で、症例は60代の男性、ステージ3の直腸がん。コンソール(操作台)を2台使用し、内間部長が村上専攻医と視野を共有し指導しながら手術を進めた。輸血や大きな合併症もなく、がん組織を切除して終了。手術は奏効し患者さんは1週間ほどで退院した。
「内間先生が着任されてから外科でもダヴィンチ手術の機運が高まりました。患者さんのためになると思い、修練を希望しました」と村上専攻医。
医師になって5年目の専攻医が術者を務めるのは珍しいという。大学病院など比較的医師が多いダヴィンチ導入施設では、専攻医より先輩の上級医から順に助手経験を積む“順番待ち”が生じているためだ。
「慣れが必要ですので、どうしても最初は少し時間がかかりますが、クオリティは問題ありません。若い医師のほうが上達は早いですし、私の経験から、より良い方法を伝えていきたいと考えています。また全国的に医師の外科離れの傾向がありますので、若い医師にもどんどん新しい技術に触れてもらって、外科の魅力を発信してもらいたいです。村上先生には、そのロールモデルになってほしいと考えています」と内間部長は期待を寄せる。
村上専攻医は「これからも研鑽を積み、より質の高い手術を患者さんに提供していきたい」と意気込みを見せる。
同院消化器外科では村上専攻医を含めて5人体制でダヴィンチを執刀できるようになった。内間部長は「当院では大学病院やがんセンターが実施しているような難易度の高い手術も実施しています。たとえば、泌尿器科のバックアップを得て行う膀胱、前立腺、直腸を一度に全摘する手術などです。安定した手術成績を上げていきながら、教育にも力を入れ、レベルを高めていきたい」と展望する。日本消化器外科学会の修練施設認定を24年1月に受けたため、サブスペシャリティーの消化器外科専門医まで含めて同院で専門医資格を取ることができる。
さらに今後は、健診・人間ドックの受診率アップを目指して、啓発活動にも取り組んでいく方針だ。