名古屋病院 地域医療支援病院に承認 かかりつけ医支援し地域医療確保
名古屋病院
地域医療支援病院に承認
かかりつけ医支援し地域医療確保
徳洲会グループで8施設目
「かかりつけ医と連携し患者さんの利益につなげたい」と加藤院長(右)と肆矢課長
承認は昨年11月1日で、愛知県の地域医療支援病院は計30施設となった。加藤千雄院長は「当院に入職する前に開業医をしていた時期もありますので、クリニックの立場からの期待感もわかります。現在は院長として責任の重さを実感しています」と意気込む。
同支援病院の承認を受けるには、複数の要件がある。①紹介患者さん中心の医療提供では、「紹介率65%以上、かつ逆紹介率40%以上」に適合。このほか②救急医療を提供する能力を有する、③建物、設備、機器などを地域の医師などが利用できる体制を確保している、④地域の医療従事者に対する研修を行っている、⑤原則として200床以上の病床、および地域医療支援病院としてふさわしい施設を有する――の要件を満たした。
同院は2021年7月から承認取得のための準備を開始。申請では各要件に関し、1年間の実績で基準を満たさなければならない。22年度は、いまだ新型コロナが猛威を振るっており、紹介率が思うように伸びなかったが、発熱外来の受け入れ実績や21年度の実績なども加味して、要件をクリアできた。
現在は加藤院長の号令の下、紹介率、逆紹介率ともに右肩上がりで推移している。患者さんが紹介状を持たずに来院した場合でも、患者さんに、かかりつけ医があれば、同院での治療が終わった後、かかりつけ医に逆紹介するよう徹底。入院の際にはアンケートを取り、患者さんの同意を得たうえで行っている。
加藤院長は「かかりつけ医への連絡は、詳しい病状や治療方針などを記した手紙で行うようにしています。電話ではタイミングが悪いと迷惑になりますが、手紙であれば、いつでも気軽に読めると思います」と明かす。
紹介患者さんを治療後に逆紹介するのは当然で、「かかりつけ医は正確な診断、正しい治療を求め、当院に患者さんを紹介します。その後、詳細について報告しないのは失礼にあたります。また、患者さんにとっても、当院と、かかりつけ医との連携が利益につながるようにしたいです」と語気を強める。
また、新型コロナ禍では会議の方法も工夫した。3カ月に1回行う外部委員を含めた委員会を、オンラインも併用してハイブリッドで開催。昨年5月に5類に移行した後も、必要に応じて対応し、外部委員が出席しやすいようにしている。同様に、地域の医療従事者に対する研修もハイブリッド開催を継続中だ。
肆矢幸輝・医事課課長は「地域の先生方から理解を得られ、地域医療支援病院の承認を受けられたことは、大変うれしく思います。紹介率・逆紹介率アップは、院長の強力なリーダーシップがあったからこそ。地道な挨拶回りも積極的に行っており、今後もより濃密な連携で、地域に貢献していきたいと考えています」と積極的。
加藤院長は「今後は患者さんへの周知徹底も必要になります。かかりつけ医との役割分担の明確化により、地域全体で患者さんに、より良い医療を提供していくことを伝えていきたいです」と抱負を語る。
地域医療支援病院とは
患者さんに身近な地域で医療が提供されることが望ましいという観点から、かかりつけ医などに対し①紹介患者さんに対する医療の提供(かかりつけ医などへの患者さんの逆紹介も含む)、②医療機器の共同利用の実施、③救急医療の提供、④地域の医療従事者に対する研修の実施――という支援を通じ、地域医療の確保を図る病院。