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11月度 徳洲会グループ医療経営戦略セミ 井上・岸和田病院副院長 離島への遠隔診療支援を実践 内視鏡応援は2万4578件

2023.12.06

11月度 徳洲会グループ医療経営戦略セミ
井上・岸和田病院副院長 離島への遠隔診療支援を実践
内視鏡応援は2万4578件

「離島・へき地での内視鏡治療の完結が最終目標です」と井上副院長

岸和田徳洲会病院(大阪府)の井上太郎・副院長兼内視鏡センター長は「遠隔内視鏡診療支援(遠隔プロクタリング)~離島僻地に都会と変わらない内視鏡診療を届ける~」と題し、同院消化器内科による応援実績や遠隔内視鏡診療支援について講演した。

同院消化器内科は離島・へき地病院を中心に多くの徳洲会病院に医師を派遣し、積極的に内視鏡応援診療を実施。定期的な応援先は23施設に上り、応援先での内視鏡件数は2022年の1年間で2万4,587件に達している。主な内訳は上部内視鏡検査1万6,457件、下部内視鏡検査7,058件、ESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)439件、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)459件。同院と応援先を合わせると内視鏡診療の総件数は4万3,063件を数える。

離島・へき地病院には指導医がほとんどいないため、若い医師が育ちにくいという状況がある。そこで、都市部と変わらない内視鏡診療を届けると同時に、遠隔から指導できるシステムをつくりたいと考えたのが、井上副院長が遠隔内視鏡診療支援を始めたきっかけだ。

「14年に徳之島徳洲会病院(鹿児島県)でのERCPを遠隔から補助できないかと、テレビ電話を活用して試みたのが遠隔診療支援の端緒です。しかし本格的にESDなどに用いるには、画質や通信速度に問題がありました。その後、Zoomが登場し、通信技術の発達が進んだ結果、KizunaWEBやTELEPROといった遠隔手術指導システムを用いて遠隔診療支援に取り組むことが可能になりました」

今年4月に奄美大島にある名瀬徳洲会病院(同)と、約600km離れた福岡徳洲会病院をインターネットで結び、名瀬病院にいる患者さんへの胃ESDを遠隔診療支援で実施。リアルタイムに内視鏡画像を共有し、福岡病院にいる井上副院長が画面上で剝離ラインを示すなどアドバイスを送った。本土と離島間での内視鏡遠隔診療支援の実施は、実臨床では国内初。また、10月末には名瀬病院の会議室と、瀬戸内徳洲会病院(同)、徳之島徳洲会病院、名瀬病院内の手術室を結び、同様にESDの遠隔診療支援を3施設同時に実施した。

最後に井上副院長は「内視鏡検査だけでなく、緊急止血術やERCP、ESDによる治療まで、離島・へき地で完結できるよう、応援診療とともに遠隔支援にも力を入れていきたい」と意気込みを語った。

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