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南部徳洲会病院 最新型トモセラピー「ラディザクト」導入 サイバーナイフも駆使し最適ながん治療を提供

2023.07.04

南部徳洲会病院
最新型トモセラピー「ラディザクト」導入
サイバーナイフも駆使し最適ながん治療を提供

南部徳洲会病院(沖縄県)は高精度放射線治療装置である最新型のトモセラピー「Radixact X9」を導入した。同機器は追尾機能を搭載し、呼吸などで動く標的を追尾して照射するため、より安全な治療が可能だ。同院は徳洲会グループで唯一、定位放射線治療装置「サイバーナイフM6」を導入しており、2台の放射線治療装置を駆使し地域に貢献していく。

放射線治療科の多職種スタッフがラディザクトとともに

南部徳洲会病院は、これまで10年以上使用していたトモセラピーの更新時期に合わせ、最新機種である「Radixact X9」を導入した。同機器は放射線の量や形を細かく変えて患部を集中的に照射するIMRT(強度変調放射線治療)機能を有するのが特徴。360度連続回転が可能なガントリ(輪の形状をした部分)により、ターゲットに対し、らせん状に放射線を照射できる。

また、高精度なCT(コンピュータ断層撮影)撮影機能を有し、治療計画時と治療直前の撮影画像間の位置のずれをコンピュータ制御下で補正したうえで照射するIGRT(画像誘導放射線治療)機能も搭載。眞鍋良彦・放射線治療科医長は「これまでのトモセラピーよりCTの撮影時間が短く、仕上がりもきれいで、自動補正ソフトの性能も向上しました。患者さんが台に寝ている時間が短縮されるので、たとえば骨転移で痛みがあり、寝ている体勢がきつい場合でも、患者さんの負担を軽減することができます」と強調する。

追尾機能では、呼吸により動く腫瘍を呼吸追尾カメラと標的検出用X線装置で把握し、リアルタイムに追跡しながら照射可能。360度、透視できるため、目印となる金マーカーを体内に埋め込むことなく、腫瘍そのものを目印にして追尾照射ができる場合もある。追尾機能により正常臓器へのダメージを低減、より安全な治療が実現する。

サイバーナイフの追尾照射では、事前に患部への金マーカー埋め込みが必要となる場合が多い。肺がんでは気管支鏡、肝がんでは穿刺やカテーテルを用いて金マーカーを埋め込むが、併存症や高齢のため実施困難なケースもある。

橋本成司・放射線治療科医長は「当院にはラディザクト、サイバーナイフと2台の放射線治療装置がありますので、それぞれの特徴を生かし、患者さんに合わせて選んでいます」と強調。

サイバーナイフはロボットアームを有するのが特徴。アーム先端に取り付けた放射線治療装置が、患者さんの体のまわりを自由自在に動き、腫瘍の形状に合わせて集中的に放射線を照射する。一度に大線量を安全に照射できるため、治療期間を大幅に短縮できる。

ラディザクトとサイバーナイフには、それぞれに得意な照射方法がある。ラディザクトは乳がん術後の全乳房照射や進行がんで予防照射域が必要な場合など、比較的広い複雑な形状の範囲に、IMRTによる正確な照射が可能。治療時間も短いことから症状緩和的な治療も実施しやすい。一方、サイバーナイフは、より正確に位置を合わせて、集中して照射する定位放射線治療により、主に5㎝以下の小さな腫瘍を短期間で治療できる。

がんの低侵襲治療を推進

同院は近隣の医療機関や患者さんへの情報提供にも注力している。眞鍋医長は5月末に南部地区医師会の会員に向けオンライン講演を実施、橋本医長は同院のYouTubeチャンネルで「サイバーナイフ〜最新のピンポイントがん治療装置〜」、「乳がん術後の放射線治療」、「前立腺がんのサイバーナイフ治療」、「沖縄南部初導入!最新型放射線治療装置ラディザクト稼働開始」という4本の動画をアップ、前立腺がんと乳がんの動画は3カ月で合わせて1万再生を超え伸び続けている。

橋本医長は「放射線治療は基本的に主治医からの紹介がなければできませんので、治療機会を逃さないよう、周知活動に力を入れています。患者さん側から当院で放射線治療を受けたいと言ってもらえるケースも増え、県外から患者さんが来てくださることもあります」とアピール。さらに、同院は琉球大学放射線科との連携を生かして医学生の見学を積極的に受け入れており、「医学生にも放射線治療の潮流を早いうちから知ってもらいたい」と語気を強める。

今後の展望として、平安名常一・副院長兼放射線部統括部長を中心に放射線治療を含めたがんの低侵襲治療をより深めていく考えだ。吹田徳洲会病院(大阪府)がすでに開設している「がんカテーテル治療センター」と連携し、南部徳洲会病院でも同センターを開設する計画。また、同院は核医学検査装置を年度内に導入予定で、内照射(内用療法)という体内に投与した放射性同位元素(RI)を組み込んだ薬剤を用いる核医学治療も実施する。平安名副院長は「従来の放射線治療に、がんカテーテル治療、核医学治療を加えた、より集学的な治療を展開していきます。今後も、がんの低侵襲治療を推進し、地域に貢献していきたいです」と意欲的だ。

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