湘南鎌倉病院 「超音波教育プログラム」開始 まず研修医にエコーガイド下CVC研修
湘南鎌倉病院
「超音波教育プログラム」開始
まず研修医にエコーガイド下CVC研修
「正しい手技を身に付けてほしい」と太田部長
シミュレーターを用いて正しいエコーガイド下CVCの習得に努める研修医
同院の超音波教育プログラムは、エコーガイド下CVC(中心静脈カテーテル)とFATE(経胸壁心エコー)に関する研修の2本柱。エコーガイド下CVCは、超音波画像を見ながら中心静脈に穿刺した針からガイドワイヤーを出し、カテーテルを挿入する手技で、検査や栄養管理などに用いる。一方、FATEは超音波検査のひとつ。胸壁にプローブ(探触子)を当てて映し出された心臓の超音波画像を見て、疾患の診断や評価を行う。
各研修は大きく基本と応用のふたつのレベルに分かれ、エコーガイド下CVCは日本医学シミュレーション学会認定のCVC実践セミナーとCVC指導者セミナー、FATEはABCD sonography認定のBasic FATEとAdvance FATEがそれぞれある。受講対象者も内容に応じて研修医、専攻医、中堅層の医師と変わる。いずれの研修も認定機関から修了証が発行される。
同プログラムを整備した背景は、超音波検査やエコーガイド下CVCの件数増加。太田部長は「毎日のように行う検査のため自己流の操作に陥りがち」と警鐘を鳴らし、「今までも教育する場は設けていましたが、不定期開催で内容や参加者もまちまちだったため、系統的かつ継続的に研鑽できるプログラムの構築が必要と感じました」と説明する。
ゼロから独自の研修内容をつくり上げる形にしなかったのは、「認定機関から講師の派遣や、装置など研修資材の貸し出しが可能になるなど、当院では準備できない教育資源が賄える」からだ。「検査の質向上と円滑な実施につながる“適正な手技”を浸透させるために、質の高い研修が実施できます」と太田部長は期待を寄せる。
同プログラムの第1弾として4月15日にCVC実践セミナーを開催。同セミナーは1年次研修医が対象で、4月に入職した24人が参加した。講師は太田部長。インストラクターとして医療法人徳洲会の野村岳志・周術期医療地域支援室室長らも参加した。はじめに、太田部長が講義を行い、超音波画像から血管の走る方向をイメージするコツや、プローブを操作しながら血管に針を通す方法を解説。
その後、研修医がシミュレーターを使用して穿刺手技のトレーニングを行った。野村室長は「研修医の多くが、比較的早い段階でエコーガイド下CVCを経験します。入職直後に正しい手技を学ぶことで、安心して実践に移せるようになり、それだけ早く質の高い医療提供につながります」と期待をふくらませた。
太田部長は「定期的に学ぶ場を設け、レベルアップを図ります。中堅層の医師には自身の手技を見直すとともに、指導者としての腕も磨いてもらいます」と展望する。“スキルアップがつねに図れる医療機関”として、自院の魅力向上にも貢献する構えだ。