中部徳洲会病院 南部徳洲会病院とがん診療で連携 遠隔カンファ導入しスムーズな治療
中部徳洲会病院
南部徳洲会病院とがん診療で連携
遠隔カンファ導入しスムーズな治療
「より質の高い医療を提供したい」と宮城医長
中部徳洲会病院は2017年5月から、南部徳洲会病院の放射線治療科と連携し、下部直腸がんに対する術前の放射線化学療法を導入。約5年間で16例に行い、うち病理所見上13例でがん細胞の低減を認め、3例で完全奏功となった。また、15例で局所再発を認めず、残り1例は放射線が当たらない少し離れた位置での再発だった。
宮城幹史・外科医長は「有害事象もなく、全例で手術を実施できました。下部直腸がんでは、がんが大きいと肛門が温存できないリスクが高まりますが、術前の放射線化学療法により、がんが小さくなると、肛門を温存できる可能性も高まると考えます」と強調する。
遠隔カンファレンスには外科だけでなく泌尿器科や血液内科も参加
昨年10月から、紹介患者さんの情報を事前共有するための遠隔カンファをスタート。同療法の適応に加え、高い線量で日数の短いショートコースと、低い線量で日数の長いロングコースのどちらで同療法を行うかなど事前に判断している。宮城医長は「患者さんに放射線化学療法の説明をする際も、より確信をもって提案できるようになりました。また、南部徳洲会病院側も、外来で初めて患者さんを診るより、事前に情報共有することで、スムーズに治療を進められるようになったようです」とアピールする。
遠隔カンファには外科だけでなく、泌尿器科や血液内科の医師が参加することもあり、転移がんによる痛みに対する緩和照射の相談なども行う。20年4月の診療報酬改定で、体幹部定位放射線治療(線量を病変に集束する治療)の保険適用が拡大。「直径5㎝以下の転移性脊椎腫瘍」や「5個以内のオリゴ転移(少数個のみの限局的な転移)」の治療が可能になり、予後改善にひと役買っている。
中部徳洲会病院外科は昨年10月から、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」による消化器系がんの治療を開始(病院への導入は12年8月)、また、直腸がんに対する経肛門的直腸間膜切除術(TaTME)の県内多施設共同研究に参加するなど、新しい治療の導入にも積極的だ。宮城医長は「今後、直腸がんの手術はダヴィンチで実施する予定です。実績を重ねて、より質の高い医療を地域の方々に提供していきたいと思います」と意欲を示している。