徳之島病院 離島で都市部並み医療を リードレスペースメーカー 開始1年
徳之島病院
離島で都市部並み医療を
リードレスペースメーカー 開始1年
「今後も循環器治療のさらなる充実を目指します」と田代副院長
脈が遅くなる徐脈性不整脈で息切れや浮腫、意識消失などが生じる場合、ペースメーカーの適応となる。従来のペースメーカーは本体を前胸部の皮下に留置したうえで、そこから伸ばしたリード(細長い電極)を心臓の右心室と右心房に挿入する。本体を植え込んだ部分は、見てわかるくらいのふくらみができる。
一方、リードレスペースメーカーは、小指ほどの大きさの本体をカテーテルで大腿静脈から心臓内に送り、フックで直接、心壁に取り付ける。手術のように切開する必要がないため、感染リスクが低く、治療に要する時間や入院期間も短い。また、耐用年数は約10年で、一度植え込んだら交換はできず、必要な場合は新たに追加していく。
カテーテルで行うリードレスペースメーカー植え込み術
田代副院長は「循環器領域で新しいことを始める時、心臓血管外科の常勤医師がいないと施設基準をクリアできないケースが多いのですが、この治療は連携施設を申請すれば大丈夫でしたので、沖縄県の中部徳洲会病院と南部徳洲会病院に協力していただきました」と吐露。「徳之島は高齢者が多く、従来のペースメーカー植え込み術も1年に10例以上実施していましたが、手術は侵襲性が高く、感染のリスクもあったため、リードレスペースメーカーが必要だと考えていました」と明かす。
さらに、従来のペースメーカーは術後2~3カ月は安静にする必要があったため、認知症を発症している患者さんは動いてしまいリードがずれるなどリスクがあった。一方、リードレスペースメーカーであれば、早ければ術後1日で退院でき、生活に支障が出にくいのもメリットだ。
同院は今後も循環器治療のさらなる充実を目指す。田代副院長は今年中に日本心血管インターベンション治療学会の専門医を取得する見込み。「年内には、ロータブレーター治療(先端にダイヤモンドの細かい粒を付着した高速回転ドリルで冠動脈の狭窄病変を削る)の施設基準をクリアし、治療ができるように整備したいと考えています」と展望する。