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TMAT トルコ南東部地震 隊長インタビュー㊥ 鈴木・福岡病院センター長 信頼関係の構築が鍵 外科・救急対応を任される

2023.03.15

TMAT トルコ南東部地震
隊長インタビュー㊥ 鈴木・福岡病院センター長
信頼関係の構築が鍵 外科・救急対応を任される

トルコ南東部地震に対しリレー形式で合計23人の隊員を派遣、災害医療活動を行ったNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)。先遣隊から引き継ぐかたちで本隊第1陣が2月12~20日まで活動した。今回は第1陣の隊長を務めた福岡徳洲会病院の鈴木裕之・救急センター長に活動内容などを聞いた。

頭をけがした男性を治療する鈴木センター長(右) 隊員たちに強い印象を与えた少女 UMKEスタッフ撤収時に名残を惜しみ全員で記念写真

12日に現地入りした本隊第1陣は、震源地から約40㎞のバーチェ・リハビリ病院敷地内で主に活動しました。先に支援活動を行っていたトルコ国立医療レスキューチーム(UMKE)が設営した仮設診療所テントが3つ(内科・外科・救急)あり、到着後すぐに診療を開始。地震による外傷や、やけどをした患者さんへの対応、避難所テントへの訪問診療を行いました。なかにはトルコ語が通じないシリア難民の方もおり、通訳の方が苦労しながら診療をサポートしてくれました。

最も印象に残ったのが4歳の少女でした。地震で右腕を失ったうえ、左手も大けが。さらに父親も右腕を切断するという過酷な状況に置かれていましたが、それでもガーゼ交換のために受診し、治療を終えると、毎回、私たちに笑顔を見せ、抱きついてくれました。彼女の笑顔は隊員全員に勇気を与えてくれました。子どもたちから笑顔や元気を引き出すことはTMATの活動意義だと確信しました。

19日に合流した本隊第2陣に引き継ぎ、予定どおり第1陣は20日に帰国。振り返ってみると、「信頼関係の構築」が今回の活動の鍵だったと思います。我々がスムーズに診療を開始できたのは、トルコ保健省など、いろいろな関係者と交渉し信頼関係を一から築いてくれた先遣隊のおかげですし、私たちもUMKEのやり方を尊重しながら、より良い医療提供をともに目指した結果、外科と救急のふたつのテントを任せてもらえるようになりました。患者さんや被災者との関係も同様で、避難所テントに入る際や記録のために写真を撮影する時はひと声かけるなど、隊員一同、信頼関係を壊さないよう気を配りました。その気持ちが伝わったのか、皆さん温かく、笑顔で受け入れてくれました。

今回、TMATはWHO(世界保健機関)のEMT(緊急医療チーム)認証を受ける過程で医療活動を行いました。認証されたチームと同様、災害時でも平時レベルの医療を提供することが求められましたが、平時と同レベルの救急対応ができるのもTMATの強みと、あらためて実感しました。ただ、これからも活動を継続するには若手隊員の育成が必要です。多くの方々にTMAT隊員になってもらうことを望みます。

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