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札幌東病院 TAVIが1000例突破 開始から5年で達成

2023.03.01

札幌東病院
TAVIが1000例突破
開始から5年で達成

札幌東徳洲会病院のTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)の治療実績が1,000例を突破した。同院は湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の齋藤滋総長のサポートを受け、2017年4月に1例目を実施。昨年9月に1,000例に達した。同年10月には院内で職員を対象とした記念講演を開き、齋藤総長や札幌東病院の循環器内科医師がTAVIの歴史や節目を迎えるまでの道のりを振り返った。

講演会後に記念撮影(前列中央が齋藤総長) 「さらに発展させていきいきたい」と(左から)山崎副院長と山﨑部長

TAVIは13年に保険適用となった重症大動脈弁狭窄症(AS)の治療法。ASは心臓の左心室と大動脈を隔てる弁(大動脈弁)の動きが悪くなる病気で、血液を十分に送り出しにくくなるため、動悸や息苦しさ、胸痛など、さまざまな症状を引き起こす。

治療法は人工弁の置換となり、TAVIはカテーテルを使って行う。札幌東病院は齋藤総長の協力の下、14年にTAVI実施に向け準備を本格化。環境を整え、17年4月に1例目を実施した。

1年目から100例ほど行い、2年目以降も堅調に症例を積み重ね、昨年9月15日に1,000例に到達(図)。山崎誠治・副院長兼循環器内科部長は「開始から5年で大台を突破するとは思っていませんでした」と振り返り、山﨑和正・循環器内科部長も「1,000例達成した施設は全国でも少ないと思います。当院は全国で109番目のTAVI認定施設。スタートは遅いほうなのでびっくりしています」と驚きを隠さない。

道内のTAVI実施施設は、ほぼ札幌市に集中。“激戦区”のなか、またコロナ禍でも実績を伸ばした要因は同院の対応体制にある。当初は週1例だったが、次第に地域に認知され紹介患者さんが増加、週に5~6例対応できるように工夫した。「経験を重ねるうちに、治療時間が短縮。あわせてベッドの回転率を向上するようにしました。検査入院を外来に切り替えたり、患者さんの状態によっては術後から退院までの日数を短縮したりしました」(山﨑部長)。

また、同院の「待たせない」姿勢も奏功。患者さんの紹介があった時には、できるだけ早くTAVIを実施するように心がけた。「お待たせすることは、それだけ患者さんの状態が悪くなってしまう可能性があります。TAVIの前後にかかわるスタッフを含め、はじめから多職種の動きも良かったので、スムーズに受けることができました」と山﨑部長。実績を重ねることで、同院に患者さんを紹介する医療機関が増えるという好循環が生まれ、症例数を着実に伸ばしていった。「それだけ地域にニーズがあるということ」と山崎副院長は指摘する。

1,000例の達成を記念して昨年10月20日に講演会を企画。山崎副院長が座長を務め、第一部では「TAVI1000例までの道のり」と題し、山﨑部長が一般講演。第二部では齋藤総長が「TAVI‐日本における導入」をテーマに、特別講演を行った。

山崎副院長は今後については、「TAVIは、もっと増えていくと思います。低年齢化、あるいは外科手術で置換した弁の機能が悪くなりTAVIで弁置換するケースもあるかもしれません。新しい知識と仲間を増やし、発展させていきたいです。たとえば、コロナの影響が出れば、すぐに止めるという病院ではいけない」と語気を強める。山﨑部長は「症例数を増やすことと、安全性の追求。そして教育ですね。これだけの症例数があるので、院内はもちろん、勉強会や学会発表などを通じて地域や業界、何より患者さんに還元したいと思います」と意欲を見せた。

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