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中部徳洲会病院 与論・沖永良部病院と消化器領域で連携強化

2022.12.27

中部徳洲会病院
与論・沖永良部病院と消化器領域で連携強化

中部徳洲会病院(沖縄県)は消化器領域で、鹿児島県の離島にある与論徳洲会病院、沖永良部徳洲会病院と連携を強化している。定期的に医師が赴いて診療を行うのはもちろん、メッセンジャーアプリやオンライン会議システムを活用し医師の相談に昼夜問わず対応。重症例には軽飛行機「徳洲号」に乗り込み迅速に対応することもある。現在は中部徳洲会病院の仲間直崇・消化器内科部長が役割を担っているが、今後は連携のシステム化を行い、後進育成などにも力を注ぐ。

ICT活用し24時間相談対応

「徳洲号」で離島病院に向かう

消化器領域で中部徳洲会病院が与論病院と沖永良部病院との連携を強化したのは昨年4月。仲間部長が与論病院の高杉香志也院長の依頼で同院を定期的に訪れるようになったことがきっかけだ。「新型コロナで中止・延期していた内視鏡関連の検査や治療の再開に向け、協力を求められました。定期的に入るようになり、消化器領域でアドバイスを求められる機会が多かったので、以前からサポートしていた沖永良部病院も含め、さらなる連携強化が必要だと思いました」(仲間部長)。

「少しでも離島のために貢献したい」と仲間部長

とくに重視したのが医師からの相談対応。メッセンジャーアプリ「LINE」を窓口として、研修医や専攻医、消化器領域を専門としない医師などからの相談を24時間受け付け、日中はオンライン会議システムを活用し検査画像などを確認しながらアドバイスを送り、夜間は電話で対応。会話での解決を基本とし、原則、文字だけのやり取りはしない。もちろん、これらは患者さんの個人情報に配慮したうえで行う。

中部徳洲会病院の内視鏡センターではオンライン会議システムを新設

現在、与論病院で研修している湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の御友彩夏専攻医は「島唯一の病院であるため、基本的に自院で完結しなければなりませんが、引き継げる専門医がいません。何かあれば相談できる環境は大変心強いです。心から感謝しています」と吐露。定期的に同院をサポートする福岡徳洲会病院の中村廉・外科医師も「カンファレンスで判断が難しい症例などを相談させていただいています。相談できる環境は本当にありがたいです」。

電子カルテを確認しながら研修医(右)にアドバイス

緊急で治療が必要な場合には、軽飛行機「徳洲号」で現地に赴き自ら対応。これまで総胆管結石などによる胆管炎や、大腸がんによる腸閉塞への大腸ステント治療など重症例にも対応した。徳洲号は夜間の飛行ができないため、対応可能なケースは限られるが、仲間部長は「夜間でも自衛隊による搬送は可能で、その判断のためにも、連絡をもらう意味はあると思っています」と強調する。

精力的な活動により、沖永良部病院、与論病院では内視鏡検査やERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)の件数が増加。とくに与論病院では現時点で今年の内視鏡に関する検査・治療の約半数が仲間部長によるものだ。

今後、両院との連携についてはシステム化を構想。仲間部長は奄美大島や徳之島の病院をサポートする岸和田徳洲会病院(大阪府)を例に挙げ、「当院も連携のために動ける医師を増やし、当番制なども導入したいと考えています。消化器内科のメンバーの協力なくしてシステム化は実現しません」と強調。「将来的には臨床的責任の有無なども考えなければならず、クリアすべき課題は多い」としながらも、「都市部と離島でできる医療に差異があってはいけません。徳洲会ならば、なおのことです。少しずつでも実現に向け進んでいきたい」と意欲を燃やしている。

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