湘南鎌倉病院 村田・増田両部長が表彰 日本消化器関連学会週間
湘南鎌倉病院
村田・増田両部長が表彰
日本消化器関連学会週間
「患者さんのために研究にも力を入れていきたい」と増田部長(左)、村田部長
JDDWは日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会、日本消化器外科学会の4学会を主要構成とし、他に日本消化器がん検診学会が参加する組織。年1回、消化器領域で国内最大級の学術集会「日本消化器関連学会週間」を開催している。
今回、湘南鎌倉病院の村田部長はデジタルポスターセッションで「非閉塞性腸管膜虚血の予後予測因子の検討」をテーマに演題を発表。非閉塞性腸管膜虚血(NOMI)の予後は悪いが、国内外の論文などでは予後や死亡率に幅が見られることから、生存率を改善するための予後予測因子を分析した。
徳洲会8病院でNOMIと診断され手術を施行した78例を検証した結果、SOFAスコア(臓器障害を簡便に点数化し合計点で重症度を判定するツール)が10以上の場合で死亡率100%だった。村田部長は同スコアがNOMI患者さんの予後予測因子となる可能性と、同スコアの悪化前に、できる限り開腹術を施行することで予後改善に役立つ可能性を示唆した。
一方、増田部長は「Validity of antimicrobial the-rapy for acute cholangitis administered for ≦2 days post-ERCP」(急性胆管炎に対するERCP後抗菌薬投与期間2日以内の妥当性の検討)と題し、インターナショナルポスターセッションで演題を発表。耐性菌の増加を防ぐには抗菌薬の使用を最小限にすることが望ましく、胆道ドレナージ(胆石や腫瘍などで胆道が狭くなった部分を内視鏡を用いて処置し胆汁の流れを改善する治療)成功後3日以内の投与が妥当とする報告が増えている。しかし、最適な抗菌薬使用期間は明確でないため、2日以内に短縮できるかを自院の390例(軽症・中等症)で検証した。
増田部長は、「高齢者には注意を要する」としながらも「急性胆管炎患者の胆道ドレナージ手技が成功した場合、軽症または中等症例であればERCP後2日以内に抗菌薬投与を終了していいと思われます」と締めくくり、今後、さらに研究を進める方針を示した。
他の発表は次のとおり。
【シンポジウム】佐々木亜希子・湘南鎌倉病院消化器病センター部長「鳥肌胃炎によるびまん性胃がん発症リスク上昇のメカニズム」【パネルディスカッション】伊藤貴博・札幌東徳洲会病院IBDセンター部長「クローン病小腸病変の評価にLRG測定とカプセル内視鏡は有用である」【ワークショップ】隅田ちひろ湘南鎌倉病院消化器病センター医長「自己免疫性胃炎における初期像と発育進展過程の検討」【デジタルポスターセッション】▼伊藤・札幌東病院IBDセンター部長「潰瘍性大腸炎に対する1st Bioの選択と2nd lineへの影響の検討」▼須田倫之・成田富里徳洲会病院(千葉県)外科医長「胃がん検診のバリウム検査後に発症した腹痛で腸閉塞の診断に至り,Meckel憩室の診断に至った一例」▼鈴木敏之・羽生総合病院(埼玉県)外科医長「絞扼性腸閉塞の診断に対するガストログラフィン注入後単純CTの有用性」▼山本龍一・東京西徳洲会病院肝胆膵内科部長「高齢者悪性胆道狭窄症例に対する内視鏡治療の検討」▼木村かれん湘南鎌倉病院消化器病センター医師「炎症性腸疾患における入院患者の静脈血栓塞栓症の臨床的検討」▼髙山昇龍・名古屋徳洲会総合病院外科医師「腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術における高位腹膜切開法の導入」▼横山希生人・名古屋病院外科医師「転移性小腸腫瘍の穿孔に対して術中小腸内視鏡を併用して小腸部分切除術を施行した1例」▼小寺徹・宇治徳洲会病院(京都府)健診センター部長「萎縮未完成期の自己免疫性胃炎における内視鏡所見」▼小池廣人・八尾徳洲会総合病院(大阪府)外科医師「進行直腸癌と並存した 電解質喪失症候群(Electrolyte Depletion syndrome;EDS)を伴う直腸絨毛腫瘍の1例」▼高見友也・岸和田徳洲会病院(大阪府)外科副部長(現・緩和ケア科副部長)「当院における黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)42例の検討」。