白根病院 日本臨床医療福祉学会 一般演題で5演題発表
白根病院
日本臨床医療福祉学会
一般演題で5演題発表
(左から)杉原副主任、太田・名誉院長、小林室長、横内副主任、名取副主任
太田・名誉院長は「超高齢社会での回復期からの在宅復帰を困難にする社会医学的要因の考察」がテーマ。脳神経外科疾患で回復期リハビリテーション病棟(2008年開設)に入院したデータのある全症例(901例)を対象に検討。独居患者さんの在宅復帰率は、発症前に同居者がいる患者さんより有意に低く、在宅復帰を困難とするひとつの要因であると説いた。08年以降、年を追うごとに在宅復帰率が上がっていることを明かし、「病院側の退院支援などが改善した可能性があります」とアピールした。
小林泰彦リハビリテーション科室長(理学療法士=PT)は「回復期リハビリテーション病棟に実績指数が導入された効果」と題し発表。実績指数とはリハビリの効果を測る指標のひとつで、同病棟では16年から導入している。リハビリ提供単位は大きく変わっていないものの、数値は年々向上し、入院期間の短縮などを認めた。「早期退院だけでは意味がなく、持続可能な暮らしやすい生活の維持を求めていきます」と強調した。
一般演題で座長を務める太田・名誉院長
同科の横内俊樹副主任(作業療法士)は「2人暮らしが認知機能の向上に良いとされる報告」をテーマに発表。脳卒中で入院した患者さんの退院時と通院時の認知機能の変化を比較し、家族構成が認知機能に及ぼす影響を調査。同居家族が多くいるよりも、2人家族のほうが認知機能に良い影響を及ぼした。「1対1の環境は、より傾聴と共感を行える状況となり、不安や悩みを打ち明けやすくなると考えられます」とまとめた。
同科の名取真紀副主任(PT)は「脳卒中患者の退院後ADLの変化~生活期の能力低下を防ぐために~」と題し発表。回復期リハビリ病棟を退院した患者さんの機能的自立度評価表(FIM)の変化を検証した結果、とくに退院後のトイレ動作能力の変化でFIMに差が見られた。本人や家族の不安を軽減させるには、適切な環境設定や反復練習が必要。「これまでもトイレ動作は評価してきましたが、あらためて重要視したいです」と力を込めた。
同科の杉原大輔副主任(PT)は「重度片麻痺症例における退院時歩行能力の調査、検証」がテーマ。歩行に影響があると思われる項目を検証した結果、とくに起居動作と注意障害を有意な因子として抽出。歩行獲得の可否に起居動作は重要であり、注意障害があると歩行自立を認めにくいと考えられる。「今回は歩行の影響因子の一部の検討だったので、さらなる要因分析を進め、より質の高いリハビリを提供していきたいです」と目標を掲げた。