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近江草津病院 乳がん診療 本格始動 三瀬部長着任 手術や化学療法など

2022.09.28

近江草津病院
乳がん診療 本格始動
三瀬部長着任
手術や化学療法など

近江草津徳洲会病院(滋賀県)は乳腺外科に三瀬圭一部長が着任、乳がんに対する手術療法や化学療法などをはじめ、幅広い乳腺疾患への診療を開始した。これまでは非常勤医による外来診療にとどまっていた。三瀬部長は丁寧な診療をモットーとしており、患者さんとの信頼関係や地域の医療機関との連携を重視しながら、地域の乳腺外科診療の充実に貢献していきたい考えだ。

外来での細胞診・針生検を確立

「患者さんが気軽に受診できる病院に」と三瀬部長

三瀬部長は8月に近江草津病院に着任。宇治徳洲会病院(京都府)の乳腺外科部長を6年半務め、近江草津病院の乳腺外科診療強化のため異動した。日本外科学会専門医、日本乳癌学会専門医の資格をもち、日本乳癌学会の評議員も務めた。乳がんに対する手術や化学療法など経験豊富だ。

「これまでは乳がん治療を行う体制がありませんでした。これからは外科と連携し、手術、化学療法やホルモン療法など標準的な薬物療法に取り組んでいきます。まずは外来で新患の患者さんに乳腺エコー(超音波検査)やマンモグラフィー(乳房X線検査)、必要であればその日に細胞診や針生検(組織診)をスムーズに実施できる業務フローを確立。健診や人間ドックでの検査だけでなく、胸にしこりなどがあって心配な方は外来枠で予約なしの飛び込みでも診察します」(三瀬部長)

細胞診や針生検は、乳腺エコーやマンモグラフィーによる画像診断で見つかった病変を、より詳しく調べるための検査。細胞や組織を採取し顕微鏡で確認する。細胞診には、病変に細い針を刺し注射器で吸引した細胞を顕微鏡で観察する穿刺吸引細胞診などの方法がある。一方、針生検は、細胞診よりも太い針を病変に刺して組織を採取し顕微鏡で観察。局所麻酔下で行う。術前に乳がんの悪性度やサブタイプと呼ばれる性質を調べるための検査でもあり、明らかになったサブタイプに基づいて治療法を選択する。

なお、同院では現在、月、火、木曜に外来診療を実施。火、木曜を三瀬部長が担当している。

「患者さんと同じ 方向を向き治療」

三瀬部長は「乳がんは早期に見つけることができれば、命にかかわる疾患ではありません」と指摘し、「初期のがんであれば乳房温存手術(乳房部分切除術)と再発予防のための放射線治療を行うことで根治することも可能です。乳房切除術と同等の治療成績を期待できます」と説明する。放射線治療に関しては同院では装置を有していないため、他の医療機関と緊密に連携を取りながら実施していく。

早期にがんを見つけるためには、定期的に乳がん検診を受けることはもちろん、セルフチェック(自己検診)も重要と、三瀬部長は強調する。セルフチェックの項目は「しこりの有無」、「乳房の変形や左右差」、「出血や異常な分泌物」などが目安。入浴時や就寝前などに定期的に行い、異変に気付いたら医療機関を受診することが望ましい。

乳腺外科医と患者さんの関係は術後も長期間にわたって継続する。長い時間をかけて再発することがあり、術後10年間はフォローアップが必要であることが理由だ。三瀬部長が診ている患者さんのなかには、手術から再発治療、その後のフォローアップや健康管理などで約30年間、見続けている患者さんもいるという。

「一人ひとりの患者さんに寄り添い、患者さんの希望やライフスタイルを考慮しながら、丁寧に診療することを心がけています。検査や治療などに関する説明も、できるだけわかりやすく行い、患者さんと真摯に向き合い、同じ方向を向いて信頼関係を大切にしながら治療に取り組んでいきたいと考えています。敷居が低く患者さんに気軽に受診していただける病院にしていきたい」と三瀬部長は抱負を語る。

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