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臓器提供シミュレーション 腎臓・心血管・眼球を同時に 神戸病院が実施

2022.09.07

臓器提供シミュレーション
腎臓・心血管・眼球を同時に
神戸病院が実施

実際に使う器具を用い手術室でシミュレーション 手術室看護師も交え課題を整理

神戸徳洲会病院は臓器提供時、手術室での医療者の動きを確認するシミュレーションを実施した。同院は先頃、臓器提供時の患者サイドの動きを見直す献眼シミュレーションを行ったばかり。患者さんと医療者双方の動きを実践に即した形で確認することで、本番時にスムーズに動けるようにするのが狙いだ。

シミュレーション当日は緊急手術が入り、参加予定だった手術室看護師が序盤、不参加となった。「当院は外科系の医師が増えたことを機に緊急手術件数が増加傾向にあります。手術室看護師が出払っていることも想定しておくべきで、シミュレーションとして学びの多いタイミングでした」と、移植コーディネーターを務める竹田洋樹副院長。

腎臓、心血管、眼球の摘出は同時並行で行った場合、4~5時間かかる見とおしで、その時間の手術室を確保しなければならない。患者さんの手術と検体からの臓器摘出のどちらを優先するか、緊急手術と予定手術で優先度はどう変えるか、どこの手術室を使うか、手術室看護師をどのように配置するかなど、他診療科や他部門と協議が必要な項目が多い。「患者さんの治療も大切ですが、臓器提供で助かる命も大切です。臓器提供は間接的な救命行為。いざという時に備え優先順位の基本方針を手術室運営委員会で話し合いたい」と竹田副院長。

実際の臓器提供では、臓器移植する病院側から摘出医師が来院して摘出を行う。兵庫県移植コーディネーターも立ち会うことから、各臓器でスタッフ5~8人程度が手術室に入ることになり、大きめの手術室でないと対応が難しい。

手術室では人形を手術台に運び込み、実際に使う器具など並べたうえで、手術スペースの確保や、スタッフの動線などを細かくチェック。中盤からは緊急手術を終えた手術室看護師も参加し、どのタイミングでガーゼカウントするか、大量の臓器灌流液を使うため下に給水シートを敷くべきではないかなど、現場の看護師ならではの視点から意見が出た。

これまでは実際に使う器具を用いた本格的な手術室シミュレーションを行うことが、あまりなかったという。竹田副院長は「移植コーディネーターの方やスタッフの意見をその場その場で聞ける意義は大きい」とし、「有意義なシミュレーションとなりました。臓器提供を希望される方の思いを生かせるよう、院内でしっかりした協力体制を築きたい」と思いを語っていた。

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