湘南藤沢病院 「機能的神経疾患センター」開設 多様な治療の選択肢を提供
湘南藤沢病院
「機能的神経疾患センター」開設
多様な治療の選択肢を提供
「全国に当センターをアピールしていきたい」と山本センター長 留学中に恩師のアンドレス・ロザノ脳神経外科教授(左)と記念撮影
湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は8月1日、機能的神経疾患センターを開設した。山本一徹・同センター長は、これまで湘南鎌倉総合病院(同)脳神経外科に所属していたが、2020年に東京女子医科大学病院で1年間学んだ後、カナダのトロント大学トロントウェスタンホスピタルでの2年間の留学を経て湘南藤沢病院に入職。山本センター長は留学中、手術の技術や積極的な学術活動が評価され、ベストフェロー賞に選ばれた。
同センターの対象疾患である「機能的神経疾患」とは、脳や脊髄などの神経での情報のやり取りがうまくできなくなることにより生じる病気で、パーキンソン病、本態性振戦、ジストニア(不随意運動の一種)、痙縮、神経に起因する慢性疼痛などを言う。これらに手術を行うのが「機能神経外科」で、治療では神経回路の異常を遮断し症状を改善させる。
そのひとつが、同院で17年から実施してきたMRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)。これは超音波を脳の一点に集中させ熱凝固する治療法で、「メスを使わない手術」だ。一方、外科的治療としては、脳に電極を植え込み持続的に電気刺激を加える脳深部刺激療法(DBS)、脳に細い電極を入れ先端の温度を上げて熱凝固する高周波脳凝固術(RF)などがあり、それぞれ利点がある。
山本センター長は「当センターではMRgFUSだけでなく、当院でこれまで取り組んでいなかった外科的治療も行います。MRgFUSは対象疾患が限定的で、SDR(頭蓋骨密度比)の数値が低いと脳内の温度が上がりきらないこともあります。一方、DBSやRFは比較的侵襲的な治療ではありますが、安定的に治療が可能です。さまざまな治療の選択肢があることが当センターの強みであり、患者さんやご家族と相談しながら、最適な治療を進めていきたいと考えます」と方針を示す。
また、「機能的神経疾患に有効な治療法があることを、患者さんだけでなく医師が知らないケースもある」と課題を示し、「全国で機能神経外科治療を行える病院は非常に少ないです。地域の方々はもちろん、全国の困っている方々にも当センターで治療できることを知っていただきたい」と意欲的だ。