咽頭がんESD順調 消化器病センター 頭頸部外科と連携
咽頭がんESD順調
消化器病センター
頭頸部外科と連携
慎重に治療する佐々木部長(中央)
湘南鎌倉総合病院は昨年6月から、咽頭がんに対するESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)を実施し、順調に実績を伸ばしている。
ESDは胃や食道など消化器の早期がんを対象とした治療技術。病変が筋肉の層まで達していない比較的浅いがんで、電気メスを使って病変の下の粘膜下層ごとはがして、がんを取り除く。
同院は2013年にESDを開始し、以後、経験を重ねながら食道、胃、大腸、十二指腸と実施する範囲を拡大していった。食道がんの治療を手がけるなかで咽頭がんが見つかるケースも多く、以前から対応を考えていたという。
消化器病センターの佐々木亜希子部長は「食道がんを手がけると、病変が食道のすぐ上の下咽頭にまたがっているケースも少なくありません。しかし、咽頭は反射などで消化管に比べリスクが高く、切除する部分がよく見えるように、のどを広げたり、固定したりしなければならず、当院では対応できないため、他院に紹介していました」と説明。「通院する医療機関が増えてしまった例もあり、患者さんの利便性を高めるためにも、当院で対応したいという思いをずっと抱えていました」と吐露する。
こうしたなか、20年12月、頭頸部外科に日髙竜太部長が入職。前勤務先の病院で消化器内科との合同治療による咽頭がんESDの経験を有していたことから、佐々木部長は頭頸部外科と消化器病センターの連携で咽頭がんESDの実施に踏みきった。
消化器内科と他科連携し咽頭ESDを実施している他院への見学や必要器具の準備などを行い、昨年6月に1例目を実施。その後も日髙部長の協力を得ながら症例を重ね、現在6例にまで伸ばした。「これまでの経験により、当院でも何ら違和感なく行えています」と日髙部長。佐々木部長は、今後は術者を増やし全体の質の底上げを図っていく構えだ。