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猛烈な勢いで全国襲う「第7波」 コロナも救急も懸命に対応 徳洲会グループ

2022.07.28

猛烈な勢いで全国襲う「第7波」
コロナも救急も懸命に対応 徳洲会グループ

緊急リポート
7月に入り新型コロナ感染症が急拡大している。連日、各地で1日当たりの新規陽性者数が過去最多となり、22日には全国で19万人超と過去最多を更新した。この第7波のピークが見えないなか、医療現場では救急医療の逼迫や通常診療の一部制限が報じられるなど影響が出ている。徳洲会グループも家庭内感染や保育所の臨時休業などで出勤できない職員が相次ぎ、厳しい状況だが、各施設内外で連携・協力しながらコロナ対応とともに通常の救急・診療などを継続すべく懸命に努力している。徳洲会病院のコロナ対応を緊急リポートする。

陽性者が急増する沖縄県 救急受け入れ件数倍増も

各地で1日の新規陽性者数の最多更新が相次ぐなか、より深刻な状況にあるのが沖縄県だ。7月20日時点で、県が確保しているコロナ病床の使用率75.3%、重症用の病床使用率28.3%は、全国のなかでも高い。

こうしたなか、中部徳洲会病院はコロナ病床を25床(中等症21床、重症4床)確保。第6波収束後しばらくは空床が見られたが、7月10日頃からは満床状態が続いている。照屋いずみ看護部長は「(満床になるまで)あっという間でした」と振り返り、「第6波に比べると入院患者さんは高齢で有症状の方が多いように感じます。入院に至らずとも小児の感染例が少なくありません」と指摘。急激な患者さんの増加などでスタッフの疲弊を懸念しつつも「協力し合って何とか乗り越えます」。

南部徳洲会病院は7月17日にコロナ病床を19床から27床に増床したが、すぐに満床状態。診療の一部制限などで機能が低下している医療機関が増加し、救急受け入れも激増。6月は目標350件をはるかに超える592件を受け入れ、7月はそれを上回る勢いだ。「一時は当地域から最も遠い県北部からも受け入れました。結局、一般病床も逼迫しベッドコントロールが追い付かない状況です。それでも断るわけにはいきません。厳しい状況下でも最善を尽くします」と大城光子・看護部長。同院も職員の出勤停止が散見され、定期の外来患者さんは電話処方に切り替えるなど工夫し、「どうにか病院機能を維持できている」(大城・看護部長)。

島の医療を懸命に守る(石垣島病院)

離島の石垣島徳洲会病院の状況も厳しい。コロナ病床(13床)では、第7波で初めて透析患者さんの入院を直接受けている。友寄幸子・看護部長は「コロナ陽性者で入院加療が必要な場合、まずは県立病院で対応するルールですが、7月に入り救急からのコロナ陽性者入院の受け入れがコロナ病床の8割を占めています」と説明。高齢の認知症患者さんも増えており、病室から出てしまったりするケースもあることから、廊下にカメラを設置するなど工夫を凝らす。救急もふだんの2倍に増加。県内のグループ病院の協力を得ながら対応している。

プレハブ病棟や臨時 医療施設など再開棟

発熱患者さんの救急受け入れはPPE(個人防護具)着用で行う(羽生病院)

関西でも大阪府を筆頭に陽性者が急増。野崎徳洲会病院(大阪府)は昨年9月にコロナ重症センター(20床)を開設、院内にも軽症・中等症用病床(38床)を確保した。7月中旬以降は入院患者さんが徐々に増え、計40床前後が埋まる状況が続いている。木下美智子・看護部長は「第4波以降、職員は10日おきにPCR検査を受けスクリーニングし、早い段階で感染状況を把握するように努めています。また、国から行動制限は出ていませんが、朝礼で会食や旅行を控えるようお願いし、気を引き締めています」と明かす。

岸和田徳洲会病院(同)は第6波に続き重症患者さんの受け入れ体制を整備。19日現在でコロナ患者さんの入院はないが、その一方で、発熱外来の受診者数は日に日に増加、PCR検査での陽性率も上がっている。また、発熱患者さんのなかにはインフルエンザのケースもあり、とくに若年者に目立つ。深野明美・看護部長は「職員の感染・濃厚接触も少しずつ増えてきました。小さい子どもがいる家庭内の感染はどうしても避けられませんが、院内に広がらないよう細心の注意を払っています」と神経をとがらす。

神戸徳洲会病院は7月中旬に薬局と院内保育園でクラスターが発生。薬剤師が不足したぶんは看護師が業務の一部を代行、また同じ県にある高砂西部病院から薬剤師が応援に来るなど協力体制を築いている。軽症・中等症用の病床は第6波では20床を確保していたが、現在は8床を運営し、満床が続いている。中村美津・看護部長は「若年者からコロナが広がっているように感じます。一般病棟でもコロナ陽性者が出ていますので、診療がストップすることがないよう、引き続き感染対策に努めたい」と気を引き締める。

名古屋徳洲会総合病院はコロナ病床5床を用意。6月末以降は、ほぼ満床が続いている。発熱外来の受診者も日を追うごとに増加、3連休明けの7月19日は通常の3倍以上の患者さんが訪れ、約半数が陽性を示した。こうしたなか救急受け入れも積極的に対応。乕田美幸・看護部長は「クラスター(感染者集団)が発生すると救急を止める病院もあり、遠方から運ばれてくるケースもあります。4回目のワクチン接種も始まりましたが、地域の医療機関と役割分担し、当院は救急受け入れにも注力していきたい」。

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は第6波以降、コロナ患者さんの入院数が減少傾向だったため、県から委託を受けて運営しているコロナ専用臨時医療施設の病棟を1病棟(39床)まで縮小していた。だが、ここにきて入院患者数が再び増加基調となり、18日時点で36人と上限に迫ってきたことから、もう1病棟(39床)を開けることを決定。21日から2病棟を運用している。

「マンパワーには限りがありますので、コロナ病棟を拡大するために看護師の配置を変えました。やむを得ず本館の1病棟(24床)を閉め、コロナ病棟に移動させました」と同院の八木沼正子・看護部長は説明する。

感染拡大の影響により救急患者さんの増加も顕著だ。7月17日の救急患者数は100人に達した。ほぼ1カ月前の同じ曜日(6月19日)は51人。救急外来(ER)の業務量が急激に増加していることを受け、ERの医師や看護師をサポートする診療看護師(NP)を新たに配置し、体制を強化するなど措置を講じている。

千葉西総合病院は7月に入り、自治体からの依頼による新規入院患者さんに加え、救急で受け入れた発熱患者さんが陽性と判明するケースも増加、プレハブのコロナ専用病棟(30床、2020年5月開設)では足りなくなり、院内にもコロナ病床を確保している。小林裕子・看護部長は「現在、疑似症用に確保していた病棟の一部をゾーニング(区分け)し、コロナ患者さんを受け入れています。さらに増えたら疑似症用の病棟を別途用意するなど体制整備も検討します」と身構える。

羽生総合病院(埼玉県)は昨年1月にプレハブのコロナ専用病棟(80床)を開設、第6波収束後しばらくはコロナ患者さんの入院が少なかったが、7月以降徐々に増え、19日現在で14人が入院している。

埼玉県でのコロナの医療提供体制は25日、フェーズ2から一気にフェーズ4に引き上げられる見込みだ。青木三栄子・看護部長は「今回は感染が広がるスピードが早く感じます。入院が増えてきた場合は、本院の一部を閉じてスタッフを回すなどの対応を考えます」と備えを怠らない。

発熱外来が急激に患者増 コロナ病床が満床状態も

誠心誠意のケアが続く(仙台病院)

1日当たりの感染者数が3900人を超える北海道(7月21日時点)では、札幌徳洲会病院の8床あるコロナ病床が満床となっている。発熱外来の患者さんも増えており、松野玉枝・看護部長は「発熱外来は受診者が増え、混み合っています。また、一部病棟で小規模なクラスターが発生し、感染対策の担当者を中心に対応していますが、当該病棟の新規入退院を停止するなど影響が出ています」と危機感をあらわにする。

軽症の患者さんがほとんどだが、高齢の場合には注意が必要という。のどが痛い→食事を摂れない→脱水になる→原疾患が悪化――このような負の連鎖が起こり得るためだ。同院は院内の警戒指数を最高レベルに引き上げた。「常時マスク着用や個食といった従来からの標準予防策のほか、会議は30分まで、研修などはオンラインで実施、不要不急の外出禁止、道外渡航禁止など、あらためて対応を厳格化しています」(松野・看護部長)。

「7月上旬から徐々に発熱外来を受診する患者さんが増えはじめ、ここにきて一気に拡大しています。人手が足りず私も発熱外来を手伝う日があります」。こう話すのは仙台徳洲会病院の佐藤裕恵・看護部長。入院患者さんも増加傾向で、19日時点で14人が入院。同院は月に6日程度、入院が必要なコロナ患者さんに対応する輪番病院に指定されており、自宅やホテルで療養中に状態が悪化した患者さんの受け入れも行っている。

同院は4月の新築移転にともない、新病院の7階に感染症に対応できる病棟(24床)を設けた。陰圧個室より陰圧レベルは下がるが、病棟全体を陰圧環境にすることが可能だ。また、バイタル(生命兆候)の自動入力などを行えるスマートベッドシステムや、感染対策しながら安全に移送できる陰圧車いすなども活用し、感染拡大の防止に努めながら患者さんの対応に努めている。グループ病院のなかでインフルエンザの報告例が散発的に見られるようになってきたことから、インフルエンザに対する検査体制も整備していく方針だ。

九州でも各地で感染者が急増。福岡徳洲会病院は24床のコロナ病床(中等症)を確保し対応。通常どおり救急も受け入れているが、同院でも濃厚接触などで出勤停止の職員が増加、7月中旬には各部署で3~6人の看護師が勤務できない日もあった。瀬上希代子・看護部長は「マンパワーが不安定ななかでの対応を余儀なくされ、正直、スタッフに疲労がうかがえます」と窮状を訴える。

鹿児島徳洲会病院でもコロナ病床10床中9床が稼働。倉掛真理子副院長は「行政と連携し、検査や発熱外来などを実施しています。間もなく医療従事者のワクチン4回目接種の連絡が届く予定なので、今後も気を引き締めて臨みたい」と決意を示す。鹿児島県の離島にある徳洲会病院は今のところ小康状態だという。

宇和島徳洲会病院(愛媛県)は7月22日時点で入院患者さんはいないが、隣の圏域で病床使用率が6割を超えたこともあり、県の会合では他圏域からの搬送に備え病床確保を要請されたという。梶原優子・副看護部長(感染管理者)は「子どものいるスタッフが多いので、家族を含めた健康チェックと積極的な検査を院内で周知しています」と体制の維持に躍起だ。

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