大阪府がん診療拠点病院に指定 松原病院 質の高いがん医療を提供
大阪府がん診療拠点病院に指定 松原病院
質の高いがん医療を提供
「がんセンター」立ち上げ
がんセンターのスタッフ。(前列左から)森・緩和ケア認定看護師、古河顧問、金山センター長、平田部長、後列左が齋藤主任、同右が藤井MSW
がん医療の充実と均霑化を図るための指定制度としては、高度ながん医療を提供する医療機関を「がん診療連携拠点病院」として国が指定する制度がある。これには都道府県に1カ所整備する「都道府県がん診療連携拠点病院」と、二次医療圏ごとに1カ所整備する「地域がん診療連携拠点病院」がある。
ただし、これら拠点病院ではカバーされない地域があることから、多くの都道府県が同拠点病院に準じる質の高いがん医療を提供する医療機関を指定する独自の制度を設けている。
松原病院の指定期間は4月1日から2024年3月31日までの2年間(更新制)。
同院外科の古河洋顧問(医師)は「当院は6市2町1村からなる“南河内二次医療圏“に立地しています。同圏内に6カ所のがん拠点病院がありましたが、松原市内にはありませんでした。遠方の医療機関を受診したり入院したりするのは、患者さんやご家族に負担が大きいです。これまでも当院はがん医療に力を入れてきましたが、身近な病院で専門的ながん医療を受けられるということを、地域の方々に一層認知していただくために府の拠点病院の指定を受けました」と狙いを明かす。
“断らない救急“を標榜する徳洲会病院ならではのがん医療の実績として、古河顧問は「救急がん手術(即日入院となり手術を受けた症例)」を強調する。19~20年に緊急入院した大腸がん(穿孔、閉塞、腸重積)37件、胃がん(出血、穿孔)8件、その他2件の治療成績は93・6%と高い救命率を示す。
がんセンター長を務める婦人科の金山清二部長は「当院は心臓血管外科や脳神経外科などにも強みがあり、がんそのものの治療のみならず全身的な管理を行う体制が整っています。スタッフ一同、きめ細かく円滑な対応を心がけていますので、ぜひ安心して受診してください」とアピール。同センターでは毎月定例の会議を開き、課題や情報を共有し改善を図り、日々の臨床や患者さんへの対応に生かしている。カバーできない領域のがん種に関しては、日頃の病病連携のネットワークを生かし紹介を行っている。
緩和ケア認定看護師の資格をもち、緩和ケアチームの運営を担う森麻衣子看護師は「身体や心のつらさ、経済面や仕事の悩みなど、さまざまな苦痛に対して、多職種が力を合わせサポートします。つらいことがあれば我慢せず気軽にスタッフに伝えてください」と話す。平田裕久・外科部長は緩和ケア認定医(日本緩和医療学会)の資格をもつ。
指定要件の必須項目のひとつに、がん相談支援センターの設置がある。同院がん相談支援センターの専任相談員である藤井友紀子MSW(医療ソーシャルワーカー)は「患者さんが困っていることは一人ひとり違います。しっかりと声に耳を傾け患者さんが希望する生活を叶えられるよう支えていきたい」と抱負を語る。
がんセンターの事務局を担う齋藤奈央・医事課主任は「がん治療には多額の医療費がかかるというイメージをおもちの患者さんが多いですが、高額療養費制度を使うことで負担を抑えることができます。さまざまな情報をお伝えしながら患者さんのために貢献していきたい」と意欲的だ。