徳洲会10病院 DPC特定病院群に 宇治病院 係数Ⅱで全国22位
徳洲会10病院 DPC特定病院群に
宇治病院 係数Ⅱで全国22位
2022年度診療報酬改定にともない、徳洲会グループの10病院が厚生労働省からDPC(診断群分類別包括評価)特定病院群の指定を受けた。2年前の前回改定では7病院だったが、八尾徳洲会総合病院(大阪府)、松原徳洲会病院(同)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の3病院が新たに標準病院群から特定病院群に格上げとなった。
また、DPC対象病院は診療行為の実績がさまざまな観点から評価され、「機能評価係数Ⅱ」という係数が割り当てられる。
同係数は保険診療指数、効率性指数、複雑性指数、救急医療指数、カバー率指数、地域医療指数の6指数を総合して算出。急性期病院として適切に運営し、地域医療などへの貢献度が高い病院ほど高い係数となる。
宇治徳洲会病院(京都府)は、特定病院群のなかでも同係数が全国22位、京都府では1位。徳洲会のなかでもトップだ。
同院の末吉敦院長は特定病院群指定について「研修医の養成数、高度な手術の指標、重症内科疾患の指標、診療密度が高く効率よく診療していることなどが大学病院並みであることで、認定されます。地域を代表する急性期病院として誇りに思える指定です。機能評価係数Ⅱは厚労省が理想と考える病院に近い状態を維持することで、高く評価されます。いわばDPC病院の“成績表“にあたります」と説明する。
良い医療を提供するには経営的な観点が欠かせず、係数の高低は病院経営に直結することから、末吉院長は「当院は係数を上昇させる努力をつねに行ってきました。係数Ⅱはこの4年間で4%の上昇に成功しています」とアピールする。係数には、医療機関の人員配置や医療機関全体として有する機能など、病院の構造を主として評価する機能評価係数Ⅰもある。
新たに特定病院群となった八尾病院はこれまで唯一満たしていなかった「医師研修の実施」の項目が基準に達し同群に指定。酒匂精一事務長は「コロナ診療に積極的に従事しながら、心臓血管外科や脳神経外科、循環器内科、その他の診療科で高度な手術を多く行っていることなどにより、同群のなかでも比較的高い係数の評価を受けることができました」と分析。
松原病院医事課の東龍・課長補佐は「この2年間、コロナ禍で救急搬送からの入院が増え、それにしっかりと対応してきたことや各診療科の協力によって特定病院群の指定を受けることができました」と要因を挙げる。
湘南藤沢病院医事課の岸忠邦・事務次長は「当院はもともとクリニカルパス(科学的根拠に基づき標準化した診療計画)の適用率が高かったことを活かし、より適切な医療を効率良く実施していくため、パス委員会の努力により見直しを行ったことなどが奏効しました」と説明している。
DPCとは…
DPC(Diagnosis Procedure Combination)は診断群分類(傷病名や治療内容などによる分類)ごとに定めた包括点数に基づく急性期入院医療の定額支払い方式をいう。厚労省は急性期病院であるDPC対象病院を、大学病院本院群、同群に準じた高い診療機能を有する特定病院群、それ以外の標準病院群の3群に分類。特定病院群になるには①診療密度、②医師研修の実施、③高度な医療技術の実施、④重症患者に対する診療の実施――の4要件に関して、大学病院本院に準じた高い基準値を上回る必要がある。
22年度診療報酬改定をふまえて厚労省が22年3月18日に発表した資料によると、DPC対象病院は計1,764病院。このうち大学病院本院群は82病院、特定病院群は181病院と全体の約1割しかない。