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再生医療・放射線医療テーマ 第1回先端医療セミナー開催

2022.04.27

再生医療・放射線医療テーマ
第1回先端医療セミナー開催

「つねに先端医療に取り組む当院の姿をご覧ください」と小林・院長代行

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は院内講堂で第1回先端医療セミナーを開催した。テーマは「急性期総合病院における先端医療の現状~基礎医学から臨床へ~」。会場で40人超、オンラインで150人超が参加。小林修三・院長代行が総合案内を務め「弱者を置き去りにせず、つねに新しい先端医療に取り組む当院をご覧ください」とアピールした。2月19日に開催。

浅原室長は血管医学研究の応用研究について現状と未来を解説

第1部は「再生医療」がテーマ。まず大竹剛靖・再生医療センター再生医療科部長が「一般臨床への応用~足壊疽・腎障害・脊髄損傷・肝硬変~」と題し講演。同院は透析患者さんの重症下肢虚血(先進医療B)に加え、急性腎不全、脊髄損傷、肝硬変、慢性腎臓病などに対し再生医療を実施。

使用する細胞は患者さん自身の血液中にあるCD34陽性幹細胞(血管内皮前駆細胞)で、高い血管再生効果、抗炎症効果を有する。講演では再生医療の実際の臨床応用と、その安全性や治療効果について説明した。

浅原孝之・再生医療センター細胞培養ゲノム細胞解析室室長は「CD34の発見から再生医学研究の予防医学への応用」がテーマ。1997年にCD34を発見し、血管再生医学研究がスタート。さまざまな疾患に対するCD34を用いた血管再生療法を開発した。

さらに細胞解析技術の研究が進み、患者さんの血液細胞解析によって老化、未病、疾患の早期診断にも応用できることが判明。予防医学センターで、この細胞解析診断が受けられるようになった。これら血管医学研究を応用した抗加齢・健康イノベーション研究の現状と未来について解説した。

大竹部長は再生医療の一般臨床への応用について説明

德植部長は陽子線治療の有効性や今後の展望について解説

サルベコフ・アマンケルディ湘南先端医学研究所主任研究員は「AIを用いた個別化細胞治療からEV(Extracellular Vesicles)まで」と題し講演。EV(細胞外小胞)は、ほぼすべての細胞から分泌されるナノサイズのカプセル。

これを用い慢性腎臓病、心筋梗塞、末梢動脈疾患など治療開発に期待されている。また、AI(人工知能)やバイオマーカーを駆使し、患者さんごとに最適な治療法を提供する研究も紹介した。

BNCTにも言及

川本部長はPETの歴史や概要、PET-CTの有効性など説明

続く第2部は「放射線医療」がテーマ。まず德植公一・放射線腫瘍科陽子線治療部長が「陽子線治療における他治療との差別化」と題し講演。陽子線にはエネルギーに応じた深さで最大線量を周囲に与えて止まるという物理特性があり、これを利用すると腫瘍には高線量、周囲の正常組織には低線量で照射することが可能。画像診断技術が向上し、照射技術も発展した現在では、この特性を従来以上に活用することができる。講演では、陽子線治療の臨床例、臨床成績を提示、今後の展望について解説した。

中島センター長は予防医学センターの特徴的な検査を紹介

川本雅美・先端医療センター核医学診療担当部長は「古くて新しい検査、PET~何がそんなにすごいのか?~」がテーマ。PET(陽電子放射断層撮影)はポジトロン(陽電子)という放射線を出す物質を含んだ薬を注射し、体外から放射線を検出することで、薬の体内分布を画像化。2000年にはPET-CTが開発され、がんが存在する部位をより正確に診断できるようになった。また、同センターが導入予定の新しい放射線治療であるBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)にも言及。

中島留美・予防医学センター長は「守りの健診から、攻めの予防医学へ~予防医学センターの新たな取り組み~」と題し講演。同センターでは従来の人間ドックに加え「PET-CTがん検診」、「内臓脂肪CT検査」、膵臓がんのリスクを測る「エクソソーム検査」を導入。さらに、もの忘れの訴えがない頃から認知機能の状態を把握する「あたまの健康チェック」を新たに取り入れる計画も紹介した。

アマンケルディ主任研究員はAIを用いた個別化細胞治療など紹介

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