内田・松原病院部長 漢方の治療戦略を解説
内田・松原病院部長
漢方の治療戦略を解説
『月刊薬事』臨時増刊号に寄稿
「漢方製剤により治療の選択肢が広がります」と内田部長 じほう刊、4180円
松原徳洲会病院(大阪府)の内田隆一・呼吸器内科部長は、『月刊薬事』2022年2月臨時増刊号(Vol.64 No.3)として、じほうが出版した『急性疾患に即効!救急/急性期・病棟での漢方製剤の使い方』に寄稿した。漢方製剤は近年、同書タイトルにあるように、救急・急性期や病棟でも広く用いられるようになってきた。そこで同書では、こうした医療現場でよく遭遇する疾患や症状に対する漢方製剤の用い方、注意点を解説している。
さまざまなバックグラウンドをもつ漢方の専門家が分担して執筆。序章:救急・急性期の漢方とその枠組、第1章:よく出会う症状、第2章:よく出会う疾患/シチュエーション、第3章:よく使う漢方製剤、第4章:患者背景に合わせた漢方製剤の使い方、第5章:漢方製剤を使用する際の注意点――という構成で、漢方医学や感染症治療に精通する内田部長が担当したのは第2章の「気道感染症」。
「重症COVID-19肺炎を視座に」という副題を付け、漢方医学と現代医学である免疫学が、それぞれどのように感染症やその病態を捉えているかを概説。さらにCOVID-19(新型コロナ感染症)による肺炎を含め、症状に応じた漢方の治療戦略やポイントを丁寧に解説。最後に同院で経験したCOVID-19肺炎治療の症例を紹介している。
「医学の進展により、漢方的な病態理解と免疫学的な病態理解は重なり合う部分があることがわかってきました。そうした観点をふまえ、漢方を専門にしていない方々にもわかりやすい内容を心がけました」と内田部長。続けて「西洋薬による感染症治療では、病原体に合わせた抗生剤や抗ウイルス薬を投与し、病原体自体に作用することを狙いますが、漢方では身体の免疫を調整することで病原体の排除を目指します。漢方製剤と西洋薬を組み合わせて用いることで、治療の選択肢が広がり、幅広い感染症に対応できます」と強調している。