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思春期の子をもつ親ら真剣 起立性調節障害で医療講演 泉井・神戸病院センター長

2022.04.05

思春期の子をもつ親ら真剣
起立性調節障害で医療講演
泉井・神戸病院センター長

「ふだんからソルトタブレットなど持ち歩き水分をよく摂るのもおすすめ」と泉井センター長

神戸徳洲会病院は2月24日、起立性調節障害(OD)をテーマに医療講演を行った。同疾患は、立ち上がった時に何らかの原因で血圧が低下し、上肢に血液が巡りにくくなる疾患。脳への血流が悪くなると、思考力低下や判断力低下、頭痛などが生じることがある。また心臓への血流が悪くなると、動悸や息切れ、倦怠感が、腹部への血流が悪くなると、腹痛や悪心、嘔吐などが起こることがある。とくに思春期の子どもに見られる疾患で、朝に起きづらくダラダラと布団の上で過ごすものの、午後になって元気になることもあり、「まるで怠けているようですが、気合や根性だけでは、どうしようもない疾患の症状なのです」と泉井雅史・周産期センター長兼小児科部長。

泉井センター長が憂慮するのが、ブレインフォグと呼ばれる認知機能障害の症状と、起床困難の症状。新型コロナ感染症の後遺症として有名になったブレインフォグは、頭がぼんやりとしてしまい、集中して物事を考えることが難しくなるため、学業の遅れにもつながる。ODのなかで最も多い体位性頻脈症候群(POTS)138人(14歳~29歳)のうち132人がブレインフォグを経験しているという研究結果を紹介。また、起床困難は遅刻や不登校につながり、結果として成績が落ちたり、両親や友人との関係性が悪くなったり、なかには学校を中退してしまう子もいるという。

ODの治療は薬物療法が中心だが、日本で第一選択となっている薬剤が約20%の患者さんにしか効果がなかったとの報告もあり、「薬物療法だけでは治りにくい」と泉井センター長。一方、欧米では薬物療法とともに生理食塩水の静脈注射療法が盛んに行なわれていることを紹介し、「半数以上の方に効果があったとの報告もあり、当院では薬剤抵抗性のある難治ODには生理食塩水静注療法によるレスキュー的な使用も視野に入れています」。

泉井センター長自身、高校時代にODで苦しんだ経験があり、「ODは認知度が低く孤独な疾患です。治療には家庭、学校、病院がODを理解し、サポートすることが大切です」と訴えると、思春期の子をもつ親らは真剣な表情で聞いていた。同院にはODについて遠方からの問い合わせが多かったため、出張講演も検討している。

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