「国内災害医療支援」トレーニングコース 11病院がオンライン参加 TMAT開催
「国内災害医療支援」
トレーニングコース
11病院がオンライン参加 TMAT開催
全国から11病院29人が受講し全員が修了 「被災地では自分の考えを押し付けるのではなく控えめに提案を」と髙力院長
国内コースは、いつどこで発生するかわからない国内災害に対し、より多くの医療従事者がTMAT隊員として医療支援活動に参加できる体制を整えるのが目的。同コースを修了することで、TMAT隊員として国内災害での活動参加要件を満たすことができる。同コース以外に国内外で活動できる「災害救護・国際協力ベーシックコース」(2日間)もある。
講師は湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の髙力俊策院長、札幌東徳洲会病院の合田祥悟・救急集中治療センター医師、成田富里徳洲会病院(千葉県)の浅野昌子看護師、福岡徳洲会病院の油江まき看護師、和田秀一看護師、一般社団法人徳洲会医療安全・質管理部の野口幸洋・課長補佐が担当。
プログラムは座学と机上訓練で構成。座学では「災害医療総論」、「国内災害の実際」をテーマに、災害時に連携が必要な行政機関、TMATの活動実績などを学習。机上訓練では災害発生から隊員派遣、被災地での医療支援活動と撤収までの流れをシミュレーションしながらグループワーク形式で学び、災害診療記録(仮設診療所などで診療した患者さんの記録)や、施設・避難所等ラピッドアセスメントシート(避難所を中心に周辺地域の被災状況やニーズを適切に把握するための調査票)の記入訓練も実施した。
総括で野口・課長補佐は「今回の研修では、TMATがどのような視点で活動し、どのような問題に直面してきたのか、すべて入れ込んでいます。今回学んだ情報を覚えておいていただければ、次に国内で災害が起きた時に、隊員として同じ感覚で活動できると思います」と強調した。
さらに、現地の活動をもっと具体的に聞きたい受講者に向け、TMATのホームページで公開している活動報告会の動画を紹介。TMATは2020年7月に発生した「令和2年九州南部豪雨災害」で、7月5~17日の期間で熊本県に総勢17人の隊員を派遣し、被災地支援活動を実施。報告会は10月10日にオンラインで開かれ、先遣隊・本隊第1陣・本隊第2陣の代表者による活動報告が行われた。
TMATが20年に創設した「病院防災コース」も紹介、同コースは災害発生時の病院の対応を総合的に学べる研修だ。
最後に髙力院長が「避難所で働く現地の保健師さんや役所の職員さんは、自らが被災者でもあり、被災地対応に慣れていません。こうした方々には、私たちが正しいと思うことを押し付けるのではなく、相手の気持ちを考えて控えめに提案することが大切です。こうした気持ちは病院で働く時も同様ですので、日頃から気を付けていただければと思います」とアドバイスを送り、閉会した。
受講者からは「オンラインのため理解度に不安はありましたが、資料がわかりやすく、しっかりと学べました」、「実際に現場に行った隊員から、体験談を交えた講義を受けることができて良かったです」、「自分にはなかった発想や考え、支援の視点を学ぶことができ、支援活動への思いが増しました」など感想が聞かれた。後日、受講者全員に修了証とオリジナルTシャツが送られた。
今後は、5月8日に福岡病院(九州地方のみ募集予定)、22日に成田富里病院(関東地方のみ募集予定)、9月に榛原総合病院(静岡県・募集範囲は未定)で開催予定。オンラインでは随時開催する。