大動脈解離の知見を共有 春日井心臓血管セミナー 名古屋病院
大動脈解離の知見を共有
春日井心臓血管セミナー
名古屋病院
B型解離に対する治療戦略を解説する石橋教授 (左上から時計回りに)松田部長、須田教授、景山医長、大橋総長が議論
冒頭、大橋壯樹総長の挨拶後、名古屋病院の景山聡一郎・心臓血管外科医長が「当院における大動脈解離の現状と報告」をテーマに、分類ごとの基本的治療戦略や治療実績などを報告した。
セッション1では名古屋大学医学部附属病院の坂野比呂志・血管外科講師が座長を務め、愛知医科大学の石橋宏之・血管外科教授が「B型解離に対する治療戦略:PETTICOATカンジキ法」と題し講演。
同法はPETTICOAT法(解離の原因となった血管の裂け目をステントグラフトで閉鎖する手技)の末梢ベアステント内に2つ目のステントグラフト(SG)を留置する方法で、ベアステントが雪道用カンジキのような働きをしてSG下端でのd-SINE(SG誘発の新規エントリー)形成を防止できる。講演ではB型大動脈解離のガイドラインを紹介し、同大で経験した症例を中心に同法の有用性を解説した。
セッション2では名古屋市立大学病院の須田久雄・心臓血管外科教授が座長を務め、国立循環器病研究センターの松田均・心臓血管外科部長が「急性A型大動脈解離の治療戦略」と題し講演。
A型大動脈解離に対するCPR(心肺蘇生法)中やCPR後の救命、TEVAR(胸部大動脈SG内挿術)の適応、内科的治療の実態、長期予後を目指した人工血管置換術について解説。「救命が第一で、それを意識した治療戦略が重要ですが、長期予後においてはTEVARや内科的治療なども含め考える必要があります」とまとめた。講演後は大橋総長、景山医長も参加してディスカッションを行い、盛況裏に閉会した。
「国際血管カンファレンス」開催
カンファレンスの様子は期間限定で配信中
大橋総長は海外への情報発信に積極的だ。同院は1月22日にオンラインで第3回国際血管カンファレンスを開催した。これは海外の第一線で活躍する心臓血管外科医師が症例を発表、知見を共有し、医療レベルの底上げを目指すのが目的。今回のテーマは末梢血管閉塞性病変で、日本、中国、台湾、シンガポール、英国から約1,000人が参加し活発に議論した。