宇治病院 コロナワクチンチームの論文が世界的な電子ジャーナルに掲載
2022.02.15
宇治病院
コロナワクチンチームの論文が世界的な電子ジャーナルに掲載
1バイアル7回接種有効性検証
「コロナ禍の終息に少しでも貢献できれば」と末吉院長(左)、今宿顧問
宇治徳洲会病院(京都府)の篠塚淳・小児科部長、今宿晋作顧問らコロナワクチンチームが執筆した論文が、世界最大規模の学術出版社エルゼビア(オランダ)が発行する電子ジャーナル「International Journal of Infectious Diseases」に掲載された。テーマは「COVID-19 vaccination: effective utilization of low dead space (LDS) syringes」(COVID-19ワクチン:デッドスペースの少ない注射器の効果的利用)。
同院の末吉敦院長は昨年3月、世界的にワクチンの確保が困難だった状況から、通常の注射器よりもデッドスペースが少ないインスリン皮下注射用注射器を活用し、1バイアル(瓶)当たりのワクチン(ファイザー製)接種回数をより多くする方法を考案。針が短いため、エコー(超音波)で皮下脂肪厚を測り、針が筋肉に届かない人には通常の注射器を用いる方法を職員への接種で試みた。
論文は、その有効性について検証した内容。インスリン皮下注射用注射器を使用した1,003人と通常の注射器を使用した239人の抗体価を調べたところ、有意差を認めなかったと指摘している。
「1バイアル7回接種の方法について、メディアから賛否両論いろいろな意見が寄せられました。今回、通常の方法と変わらない効果が得られることを証明でき、安心しました」と末吉院長。今宿顧問も「当院が情報を発信した以上、きちんと検証するべきだと思っていました。世界を見れば、まだワクチンが行き届いていない地域もあるので、少しでも役に立てばうれしいです」。