徳洲会 臨床研修指導者養成講習会 医師の指導力アップ
徳洲会 臨床研修指導者養成講習会
医師の指導力アップ
「非難ではなく批判的な観点で議論を深めて」と田村副院長
グループとしての開催は2年ぶり。12月4、5日に行った。コロナ禍に配慮し、受講者は徳洲会グループ大阪・関西ブロックの病院医師が中心。
今回も2020年度に大きく改定された新医師臨床研修制度に基づきプログラムを構成した。具体的には、アウトカム(到達目標)を意識した教育、必修化された一般外来研修を有効な学びの場とするための教育、フィードバックやコーチングのスキルなど研修医の主体性を引き出すかかわり方など。社会的にも関心が高まっている「働き方改革」や労務管理についても時間を割いた。
コースディレクターは大隅鹿屋病院(鹿児島県)の田村幸大・副院長兼内科部長(徳洲会グループ研修委員会委員長)。講師などサポートしたメンバーは八尾徳洲会総合病院(大阪府)の髙原良典・研修プログラム責任者(徳洲会グループ研修委員会副委員長)、宇治徳洲会病院(京都府)の自閑昌彦・心臓血管内科医長、熊本大学病院の佐土原道人・地域医療・総合診療実践学寄附講座特任助教、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の福武滋・脳卒中センター医長、羽生総合病院(埼玉県)の髙橋暁行副院長。
初日はワークショップで「指導医として必要な資質・能力」を議論したり、講義やロールプレイ、グループワークを通じ医師臨床研修制度の変遷と改正ポイント、臨床研修プログラムのリフォームと効果的な運用、外来での1分間プリセプティング、臨床推論を引き出すプレゼンテーション指導、“医療の専門家”として研修医の主体的な成長を促す指導、臨床現場での評価スキルなどについて学んだりした。
最後に医療安全と労務管理をテーマに講義。ケアレスミスが生じる研修医特有のリスク、指導医が知っておくべき労働基準法、「働き方改革」などについて解説した。
どのグループも活発にディスカッション 修了証書を手にする雪上医長(左)と浅沼医師
2日目も講義やグループワーク、ロールプレイを通じコーチング、コーチングを活用したコミュニケーション、フィードバックの各技法などについて知識を深めた。最後に受講者がひとりずつ「明日から実行しようと思っていること」を画用紙に書いて発表。全員に修了証書が贈られた。
受講した松原徳洲会病院(大阪府)の浅沼舞・心臓血管外科医師は「学問的に学ぶことができ、とても勉強になりました。もう少し詳しく知りたかったのは労務管理。労働者としての義務・権利を知り、そのうえで多様な働き方ができることも教えていきたいと思いました」。名古屋徳洲会総合病院の雪上直人・脳神経外科医長も「言葉で体系的に学べたことが良かった」と振り返り、「各講義のエッセンスを研修医も知ると、より教育できるように思います。機会があれば教えてあげたいです」と意欲を見せた。
サポートメンバーとして初参加の髙橋副院長は「医療者はやはり顔を合わせることで生産性が高まると感じました」と、対面の良さを再認識。
田村副院長も「その場で知り合いディスカッションできるのはライブの良さ」と集合型での開催を喜び、「議論で労務管理やコミュニケーション能力に関する意見が多く聞かれるようになったのは時代の流れを感じます。研修医指導は、すぐには成果が出ません。何年かして教えた医師がそれなりに活躍するようになり、うれしさを覚えるもの。数年先を見据え、一緒に成長する気持ちで頑張ってほしい」とエールを送っていた。