降矢・岸和田病院部長 最優秀論文を受賞 第23回 日本冠疾患学会論文賞
2021.12.16
降矢・岸和田病院部長
最優秀論文を受賞
第23回 日本冠疾患学会論文賞
「研究成果を診療に生かしていきたい」と降矢部長
岸和田徳洲会病院(大阪府)の降矢温一・心臓血管外科部長は今年度の日本冠疾患学会論文賞で「最優秀論文(原著論文)」を受賞した。論文タイトルは「Results of Coronary Artery Bypass Grafting in Non-dialysis Patients with Renal Dysfunction」(非透析腎機能障害患者のCABG[冠動脈バイパス術]成績)。同賞は2020年に刊行された英文誌14巻、和文誌1巻の掲載論文から同学会が審査を行い選定。降矢部長の論文は『Journal of Coronary Artery Disease Vol. 26』に掲載された。
降矢部長は2007年1月から18年12月までに施行した1,482例のCABG症例に関して、①慢性腎臓病(CKD)重症度分類でステージ3aから5の腎機能障害を有する非透析患者群(C群)、②ステージ1~2の腎機能正常群(N群)、③透析群(H群)に分け、後方視的に手術成績を比較。術前の腎機能障害は心臓手術の重要なリスク因子であるものの、CKDを有する非透析患者に焦点を当てた報告が少ないことから検討を行った。
結果、早期(術後30日間)成績は3群間で同等であり、術後しばらく経過後の遠隔期成績は、C群でもステージ4~5はH群と同等の生存率であることなどがわかった。降矢部長は「受賞はとても光栄で励みになります。これからも日頃のクリニカルクエスチョン(臨床的疑問)をもとに研究に取り組み、成果を発信すると同時に患者さんのため診療に生かしていきたい」と意欲的だ。