徳之島病院 離島から世界へアピール 今年は英語論文4本掲載
2021.12.16
徳之島病院 離島から世界へアピール
今年は英語論文4本掲載
徳之島徳洲会病院(鹿児島県)の藤田安彦院長、雨海照祥・総合診療科非常勤医師(滋慶医療科学大学医療科学部臨床工学科教授)らは、同院での症例をもとに英語論文を精力的に投稿、今年は4本が掲載された。藤田院長は「離島からも世界に発信できることをアピールしたい」と意欲的だ。
藤田院長(左)と雨海医師は英語論文を精力的に投稿
今年掲載された4本の英語論文のうち、まず、米専門誌『Radiology Case Reports』に掲載されたのが、「インフルエンザに合併した侵襲性アスペルギルス脳症――感染性血管症による脳出血の合併例」と題する論文だ。
同論文では、インフルエンザ肺炎に罹患(りかん)した43歳の男性が、真菌(カビ)により組織が破壊される侵襲性アスペルギルス脳症を合併した症例を報告。同症例では、感染にともなう血管症による脳出血を来し、経過中に重篤な脳症を生じたが、医学的、放射線学的に早期発見することで救命し得たことを強調。さらに、新型コロナウイルスによる肺炎も合併したが、レムデシベル静注で軽快したことにも言及している。
雨海医師は「この症例では、とくに感染性血管症による脳出血や脳梗塞など合併機転(infectious vasculopathy)の重要性を広く知ってもらう意図で、論文を作成しました」とアピールする。
今年は「気腫性膀胱(ぼうこう)炎のエコー所見」、「3D-CTによる魚骨虫垂炎の術前診断」がテーマの論文が『Radiology Case Reports』、「上腸間膜動脈解離」がテーマの論文が『Case Reports Gastroenterol』にそれぞれ掲載された。
藤田院長は「英語論文にすることで世界の医療レベルを知ることになり、査読者の評価を受けることで自分たちの医療行為を振り返ることができます。世界に発信し当院の地位を押し上げ、将来は米ワシントン大学と症例検討会を実施するなどの交流を目指したいと考えています」と意気軒高だ。