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鹿児島徳洲会病院 12月1日 谷山地域に新築移転オープン 「救急・災害医療」「リハビリ充実」「離島・へき地の基幹病院」

2021.11.17

鹿児島徳洲会病院
12月1日 谷山地域に新築移転オープン
「救急・災害医療」「リハビリ充実」「離島・へき地の基幹病院」

鹿児島徳洲会病院(310床)は12月1日、直線距離で南方向へ約8㎞離れた谷山地域に新築移転し、翌2日に診療を開始する。旧病院は築34年が経過しており、建物の老朽化や診療機能の拡充を理由に建て替えた。「救急・災害医療」、「リハビリテーションの充実」、「離島・へき地医療の基幹病院」の三本柱を中心とした医療機能、療養環境の向上に加え、将来にわたり地域に愛される病院として、鹿児島(薩摩)らしさが感じられる施設づくりを目指した。

薩摩らしさ感じる施設

「鹿児島らしさ」をデザインに取り入れた7階建ての新病院 薩摩切子をイメージした日除けが美しいエントランスホール 屋外リハビリスペースでは市電の線路を想定した歩行訓練もできる【診療科目】総合診療科、内科、循環器内科、外科、消化器外科、整形外科、形成外科、放射線科、皮膚科、漢方内科、泌尿器科、リハビリ科、麻酔科

新病院は地上7階建て、敷地面積は約1万8818㎡、延床面積は約2万8415㎡で、敷地面積は旧病院の約4倍の広さになる。桜島の火山灰を混ぜた趣のあるタイル、薩摩切子模様をモチーフにした日射抑制パネルなど「鹿児島らしさ」を取り入れたデザインを採用。病棟の床を木目調にしたり、エントランスに畳をイメージしたベンチを置いたりと、和風の居心地いい空間も意識した。

また、短期的な目標である「救急・災害医療」、現状のさらなる改善を目指す「リハビリの充実」、中長期的な目標となる「離島・へき地医療の基幹病院」を三本柱に据えると同時に、動線に配慮した「シンプル」な設計で、かつ将来を見据えて「フレキシブル」に対応できる施設を目指した。

救急・災害医療では、「救急受け入れ件数は、現状の2~3倍になる見込み」と池田佳広院長は展望。旧病院は中央地域に立地し、2㎞圏内に多くの大規模病院があったが、新築移転先の谷山地域は、小規模病院や開業医が多いためだ。「救急受け入れ強化のため、医師はもちろん、NP(診療看護師)や救急救命士の採用にも力を入れます。また、地域の介護施設への訪問診療や、当院の救急車を活用した救急搬送も積極的に実施する計画です」とアピール。

また、MCP(医療継続計画)対策として、建設発生残土を活用し1階レベルを周辺地盤から1・5mほどかさ上げ、出入り口に防水板も設けることで、約2・5mの水害まで対応できるようにした。

さらに、72時間の非常用発電機など設備機器は水害リスクのない最上階に配置し、火山灰のメンテナンスを考慮した給気方法を採用するなど、地域性をふまえた災害対策を取った。

リハビリでは、すでに最も高い病棟基準の回復期リハビリ病棟入院料1を取得済み。新病院ではさらなる環境改善を図り、地域のなかで後方支援施設としての役割を果たす考えだ。新たな取り組みとして、屋外リハビリスペースに市電の線路を設置。これは鹿児島市内の道路に縦横無尽に走っている市電の線路につまずかないようにする歩行訓練を行うためのものだ。

また、鹿児島県の離島には多くのグループ病院があるが、現状は全国のグループ病院がマンパワーの確保などをサポートしている。池田院長は「全国から鹿児島空港を経由して離島に行っていますので、効率を考えれば当院が基幹病院となり、スタッフの応援をできるようになるのが望ましいと考えます」と明かす。

見守りなどにスマホ活用

外来関連の診療部門はすべて1階に集約、ひとつながりの「ワンループ動線」に沿って各部門を配置することで、患者さんが迷いにくいように配慮した。外来の待ち合いはワンルームの空間にして、スタッフの目が行き届きやすくし、待ち合いの一部を間仕切ることで発熱外来にも対応可能。また、救急外来には専用エレベーターを設置し、3階の手術室やHCU(高度治療室)、7階のコロナ専用病棟に直接行けるようにした。

4階より上層階は病棟となる。東側を海病棟、西側を山病棟と窓から見える景色で区分けし、オリジナルのピクトグラムをデザイン。また、リハビリ室は回復期リハビリ病棟のある4階に、透析室(36床まで増床可能)は入院透析患者さんの多い障がい者病棟のある5階にそれぞれ隣接して配置、患者さんの移動はもちろん、スタッフの連携にも配慮した。7階のコロナ専用病棟では、状況に応じて病床数を拡大・縮小できるように、ナースコールの設定がフレキシブルに変更可能だ。

医療機器では、AI(人工知能)を搭載した1.5テスラのMRI(磁気共鳴画像診断)などを新規に導入。今年4月に販売開始したデジタルX線TVシステムは県内初導入となる。また、職員の連絡ツールにはグループで初めてスマートフォンを採用。ナースコールや見守りカメラとの連動機能なども搭載し、より働きやすい環境を整えた。

池田佳広院長 地域のニーズに柔軟対応

新築移転先の谷山地域は人口の割に病院が少なく、かつ南の喜入地域からの救急搬送依頼もあるため、救急受け入れ件数が大幅にアップすることが予想されます。まずはNP(診療看護師)や救急救命士の力を借りながら、救急体制を強化するのが喫緊の目標です。また、同地域は脳神経外科に強い病院や、救急で高エネルギー外傷に対応できる病院がないため、当院で脳神経外科と整形外科を強化できればと考えています。

これまでコロナ患者さんの受け入れにも注力してきました。新病院では急きょ7階にコロナ専用病棟をつくり、第6波に備えています。当院には強い特徴のある診療科はありませんが、そのぶん地域のニーズにフレキシブルに対応してきました。今後も地域の信頼を獲得できるように頑張ります。

倉掛真理子・副院長兼看護部長  皆が笑顔になる病院づくり

職員の働きやすい環境づくりのため、徳洲会グループで初めてスマートフォンを用いたシステム導入します。チャット機能などに慣れるため、移転前から試験的に導入、移転後はスムーズに運用を開始し、患者さんのより良いケアに役立てていきたいと思います。

新病院の柱である救急医療の強化に合わせ、看護師の育成にも力を入れていきます。また、急性期や回復期など複数の機能をもつケアミックス病院だからこそ、看護師の予測、判断する能力がより重要になると考えます。現在、特定行為研修を修了した看護師が5人、研修中の看護師が2人いますので、活躍の場を増やしていきたいです。そして、患者さんもスタッフも笑顔になれるような病院づくりをしていきたいと思います。

古堅剛事務長 実績積み重ねていきたい

新病院は東に錦江湾、西に谷山緑地公園を望む風光明媚な場所に建ちます。病棟からの眺めが良く、患者さんにも喜んでいただけると思います。また、近くに大きな幹線道路が通り交通の便も良く、住宅街もあるので、多くの患者さんに利用していただけることを期待しています。谷山地域の医療を守るべく、尽力していきます。

新築移転にあたり、9月に地域の開業医を対象に説明会を行いました。当院の取り組みをしっかりとアピールでき、質疑応答も活発で、良いコミュニケーションが図れたと思います。地域連携では、地域の医療施設との機能分化が大切です。これから周辺施設に協力いただきながら、地域で一つひとつ実績を積み重ねていきたいと思います。

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