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東京西病院 市・保健所・病院が初の協議 コロナ対応 地区医師会長も参加し第6波に備え

2021.11.10

東京西病院 市・保健所・病院が初の協議
コロナ対応 地区医師会長も参加し第6波に備え

東京西徳洲会病院は10月7日、「昭島市病院連絡会」をオンラインで開き、地域の行政、保健所、医療機関の関係者と新型コロナ対応について協議した。第5波を振り返り第6波に備えるのが狙い。三者が同じ席で新型コロナについて意見を交わすのは同市初の試み。当日は市長、管轄の保健所所長、地区医師会長、東京西病院を含む地域の6病院幹部らが出席し、それぞれ第5波での活動を説明するなど情報共有を図るとともに、課題に対する共通認識を深めた。

三位一体で生命を守る!

画面越しに出席者に呼びかける佐藤副院長(手前左。手前右は渡部院長) 臼井市長は市民のために最大限の努力を約束 それぞれの立場でコロナ対応を説明(写真は東京西病院)

新型コロナ流行後、昭島市では原則、急性期病院の東京西病院が都のコロナ重点医療機関として軽症~中等症、近隣の病院が軽症もしくは症状改善後の患者さんに対応している。同市に大学病院や公的病院はなく、重症の場合には市外へ搬送することもある。

この体制で第4波までは対応できていたものの、爆発的に感染者が増えた第5波では病床が逼迫(ひっぱく)。都のコロナ重点医療機関として東京西病院は最大20床のコロナ専用病床を確保していたが、新規陽性者を受けられなかったり、スムーズに患者さんを転院できなかったりした。途中から近隣の2病院とクラウドコンピューティングを用いて円滑な連携体制が整い状況は改善したが、ほどなくしてピークが過ぎ患者さんは減少。

収束傾向にある今の時期に、あらためて第5波での経験を振り返り地域全体で第6波に備えようと、「昭島市病院連絡会」を設けることとなった。

会には昭島市の臼井伸介市長と職員、多摩立川保健所の渡部裕之所長と職員、竹口病院の竹口甲二理事長(昭島市医師会長)をはじめ、6病院の院長や医師、看護部長が出席した。このうち東京西病院は渡部和巨院長、佐藤一彦副院長、鳩山悦子・看護部長ら6人が参加、また一般社団法人徳洲会の岸良洋一・事務部長(徳洲会グループ医事部会長)も同席した。

はじめに、渡部院長が「いろいろな方の協力がなければ市民の皆様をコロナから守れないと実感しています」と明かし、「皆さんと協力してコロナに対応していきたいと思います」と意欲を見せた。

臼井市長は、市内のコロナワクチン接種状況などを説明し、第6波に対する警戒感を示唆。「市民の命と健康を守り、安心・安全を確保するためにも皆様と連携し、最大限努力したい」。渡部所長や竹口会長、4病院代表者もそれぞれ挨拶した。

そのうえで第5波の振り返りを行った。それぞれ取り組みを説明するなか、東京西病院は片渕盛将・感染防止対策室副室長(看護師)が、入院、発熱外来、検査など各体制を提示。ピーク時にはコロナ専用病床は満床、対応した呼吸器管理は6件、ネーザルハイフローは19件に上り、病院占床率も87%に達し、コロナ以外の患者さんのために1割はベッドを空けておく方針から、新規のコロナ患者さんを受けられない厳しい状況にあったことを吐露した。

また、症状が回復した患者さんの転院先病院との連携も報告。患者さんの入退院状況や空きベッドの状況などを、当初は電話連絡や紙を用いて共有していたが、クラウドコンピューティングに変更したことで24時間タイムリーに情報共有できるようになったと説明した。内藤孝枝MSW(医療ソーシャルワーカー)も「お互いに、欲しい情報を表示することでスムーズに連携できました」と振り返った。鳩山・看護部長はローテート制を採用し看護師の疲弊防止に努めるとともに、他院と連携することで在宅復帰に向けたリハビリテーションを早期に開始できたエピソードなどを披露した。

今後の課題では、受け入れ病床の確保、抗体カクテル療法の実施、自宅待機者へのサポートなどが挙がり、それぞれの立場で見解を示した。出席者は一様に、第6波に備える重要性とともに、緊密な連携と協力し合う方向性を確認した。

会は予定時間をオーバーするほどの盛況ぶり。最後に竹口会長が「このような会が開催できたのは素晴らしいこと。昭島市の医療レベルが上がることを期待したいと思います」と締めくくった。

参加した東京西病院の田嶋康宏・事務次長は「第5波の時は同じ都内でも当院から50㎞以上離れた地域から入院に関する問い合わせがあるなど、東京全体が厳しい状況でした。今後も関係各所と連携を切らさずコロナに対応していきたいです」。

佐藤副院長も「それぞれ立場は違っても“患者さんのために何が最善か”を皆で考え協力することが大事。市、保健所、医療機関が三位一体となり、地域で新型コロナ関連死亡を出さないよう努力していきたいです。また、こうした連携関係は、別の感染症流行時、あるいは災害時でも生かせるはず」と強調し、会の継続に期待を寄せていた。

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