徳洲会体操クラブ 北園や亀山らが社徳で東京オリンピックを報告 団体も個人も優勝目指す──3年後のパリ五輪へ始動
徳洲会体操クラブ
北園や亀山らが社徳で東京オリンピックを報告
団体も個人も優勝目指す
──3年後のパリ五輪へ始動
記念撮影に応じる(左から)福島・副理事長、佐野コーチ、東上・副理事長、北園、安富祖理事長、亀山、米田監督、篠崎・副理事長
執行理事会でも画面越しに報告
当日は安富祖理事長をはじめ福島安義・副理事長、東上震一・医療法人徳洲会副理事長、篠崎伸明・医療法人沖縄徳洲会副理事長が出席した。はじめに、米田監督が北園と亀山の結果について報告。あらためて徳洲会グループの日頃の支援、声援に謝意を表した。
その後、安富祖理事長が「本当にお疲れ様でした」と労(ねぎら)い、「私たちも皆さんから元気や勇気をもらっています」と感謝の言葉を述べた。両選手の演技については、実際にテレビで見ていたことを明かし、「北園選手の時は落ち着いて見ることができたけど、亀山選手の時は本当にドキドキしたね」と声をかけると、一同に笑いが起こり、和やかな雰囲気に包まれた。
安富祖理事長はコロナ禍が終息したら慰労会などを開いて選手の生の言葉を聞く機会を設ける意向を示唆。「ぜひ、米田監督にも何か良いアイデアを考えてほしいと思います」と促すと、米田監督は「ふだん、職員の方々とかかわる機会があまりありません。ぜひ直接触れ合う機会を考えたいと思いますし、今後もこうして活躍することで職員の方々に発信していきたいと思います」と応じた。
各副理事長も両選手を称賛。東上・副理事長は団体総合に触れ、トップとわずか0.103差だったことに「本当に惜しかったね」と言葉をかけ、「皆さんの活躍が私たち医療・介護の現場で頑張っている職員の誇りになるし、励みにもなります。僕は徳洲会のロゴマーク(鳩がモチーフ)が好きで、徳洲会体操クラブのユニフォームの横に、そのロゴが見えると本当にうれしいし、何より誇らしい。これからも頑張ってください」とエールを送った。
篠崎・副理事長は「おめでとう」と祝い、「コロナで大変ですが、どの職員も皆さんのことを知っていて、五輪出場を喜んでいました。コロナとの闘いはまだまだ続きます。今後も職員一人ひとりの励みになるので、頑張ってください」。福島・副理事長は徳洲会体操クラブOBの米田監督と水鳥寿思・男子体操強化本部長兼日本代表監督が、かつて全国の徳洲会病院を訪れ、その後に職員から体操クラブのポスターを求められ徳洲会本部から入手、配ったエピソードを披露。「皆さんのファンが全国にいます。皆で応援しています。今後もよろしく」と、笑顔で締めくくった。
米田監督ら一行は、その後の執行理事会でもオンラインで参加者に報告。同クラブは8月23日から練習を再開。北園は練習の拠点を大阪府から神奈川県に移し、同日から所属選手とともに汗を流している。
北園と亀山を独占インタビュー
「すごく緊張したしプレッシャーもあったけど、それも含め最高の舞台でした」と北園
──あらためて五輪を振り返ってください。
北園▪目標だった団体優勝を逃したのは悔しいです。ただ、もっと頑張れる、もっと強くなれると思える良いきっかけになりました。
亀山▪今までにないほど吹っ切れさせてくれる特別な場でした。(北園)丈琉たちが熾烈な代表選考を繰り広げるなかで、自分は彼らほどの熱量があるのか、肩を並べて闘えるのかと不安に思った時期もありましたが、実際に五輪の会場に入った瞬間、憧れの気持ちがあふれ出し、きちんと自分のなかにも強い思いがあると感じました。
──演技については?
北園▪団体では、任された仕事はできたと思います。種目別の鉄棒で挑戦した手放し技は、最初から演技構成に入れると決めていました。
亀山▪後半は体力的に厳しく、バランスを崩し最後に足を開いてしまいました。最終演技者は経験したことがなく、思ったよりも待つ時間が長いと感じました。タイミングの合わせ方が難しかったです。
亀山は現役続行を示唆
「本番1カ前あたりからゾーン(集中力を極限まで高めている状態)を出入りする不思議な感覚でした」と亀山
──選手村ではどのように過ごしたのですか?
北園▪部屋では皆とゲームをするなど和気あいあいとしていました。試合でも皆で励まし合い、とても良いチームだったと思います。
亀山▪試合にも影響すると思ったので、チームメイトとはコミュニケーションを積極的に取りました。ただ、予選まではSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に極力触れないなどプレッシャーになることはすべて排除しました。
──感染対策は?
北園▪毎日、PCR検査を受けたり、村内の至るところに設置されている手指消毒剤を活用したりしました。外部の人とも話す機会はなく、宿舎と練習・試合会場の間のバス移動だけでした。
──今後の目標やプランを聞かせてください。
北園▪パリ大会では団体総合も個人総合も優勝することが一番の目標です。もう3年しかないという思いで、しっかり頑張りたいです。
亀山▪いろいろな人の話を聞きながら、ゆっくり考えたいと思っています。一線を退くことは考えていません。ただ、今はパリ大会までは考えられないので、まず1年の活動を目指します。いろいろ学んだことがあるので、クラブの後輩にたくさん伝えていきたいです。
今度は自分が感動与えたい! ──米倉英信
跳馬のスペシャリストとして代表入りを狙いましたが、あと一歩で叶いませんでした。テレビで観戦し、種目別跳馬で優勝した韓国の選手は、W杯で自分も闘っていた選手なので素直にうれしく思いました。しかも自分の名を冠した技「ヨネクラ」を決めて優勝したのです。ただ、点数ではW杯の最終戦で自分が出した点数より低かったので、少し悔しい思いもあります。
引き続き、跳馬のスペシャリストとして現役を続け、パリ大会を目指します。東京五輪ではスポーツの力をあらためて感じたので、今度は自分が感動を与えたいと思っています。10月の世界選手権(北九州市)に出場することが決まったので、今はそれに向けて集中しています。ここから新たな一歩を進めたいと思います。
まずは国内で勝つことが目標 ──米田監督
東京五輪は亀山にとっては今まで取り組んできたことの集大成で、思いきった演技をする場となりました。北園にとっては悔しさが残る大会だったかもしれませんが、この舞台に立たなければ感じられなかったことです。ここがスタートになります。同じ舞台でも、両者で意味合いは違うと感じ、ここから新たな当クラブの歴史が生まれるという、気が引き締まる思いもしました。
パリ五輪を目指すにあたり、とくに北園は鉄棒が課題になると思います。今後、オールラウンダーとして、日本のエースとして勝負していく時に、最終種目に不安を抱える選手では周囲の信頼を勝ち得ません。演技を確実にやりきり、なおかつ高い点数を取って仲間のもとに帰ってくる――そういう選手になることが必要です。
まさに橋本大輝選手が仲間であれば心強いと思うのと同じことです。パリ五輪まで時間はありません。世界を目指すには、個人・団体を問わず、国内の大会で勝つことが重要です。当クラブからひとりでも多くの代表選手を輩出できるよう、まずは今年の全日本シニア・マスターズ体操競技選手権大会、全日本体操競技団体選手権大会に向けて頑張ります。
亀山の代表入り目指して ──佐野コーチ
亀山と二人三脚で海外を転戦し、代表入りを目指しました。コロナ禍で試合が延期となるなど、代表が決まりそうで決まらない時期が続き苦労しました。海外で闘う場合、長時間のフライトになると筋肉が緩むため調整が必要だったり、一時期、失敗を恐れ演技そのものが小さくなり、良さが消えて悩んだりするなど、苦しんでいる姿を散々見てきました。
代表が決まってからは調子がすごく良かっただけに、決勝での結果については、コーチとして申し訳なさを感じます。ただ、決勝では予選よりも難度を上げ、バランスを崩しながらも最後の技をやりきったのはさすが。あの状況だと、普通は演技が止まったり落下してしまったりします。亀山の一番のファンは自分だと思っています。