羽生病院のコロナ診療 遠隔医療支援システム活用 感染リスク低減し重症対応
羽生病院のコロナ診療 遠隔医療支援システム活用 感染リスク低減し重症対応
重症コロナ患者さんの容態に目を光らせる髙橋副院長(左)
(左から)大川・事務部長、青木三栄子・看護部長、菊地・課長補佐
羽生病院は1月、敷地内にプレハブの新型コロナ病棟(80床)を開設した。それまでは、2020年4月の第1波以降、院内で28床のコロナ病棟を運用し感染者の入院受け入れに尽力、ほぼ満床の状態が続いていた。
病床確保を目指す県から打診を受け、プレハブのコロナ病棟を開設。軽症から重症の患者さんを受け入れ、薬物治療や人工呼吸器、ECMO(体外式膜型人工肺)などを用いた治療に取り組んでいる。
同病棟で活用している遠隔医療支援システムは、カメラ付きの専用カートを支援先に配置し、支援元と音声・映像でリアルタイムに結ぶ。ビデオ通話機能やメッセージ機能(チャットのように文字で情報を送受信)、生体情報・電子カルテの画面表示、病室内のカメラ映像の表示と画像拡大機能などを備える。これらから得たさまざまな情報を総動員し、遠く離れた2地点を接続して行う遠隔医療をサポートするシステム。
レッドゾーン(汚染区域)への出入りを厳格に管理する必要がある感染症診療に有効なため、同院は新型コロナ病棟の開設当初から同システムを活用している。
同院の大川啓二・事務部長と総務課の菊地一典・課長補佐は「プレハブのコロナ病棟開設に先立ち、先行導入していた湘南鎌倉病院に昨年9月、医師や看護師を中心に見学に行き、導入を決めました。その後、メーカー担当者に当院に来てもらい看護部や臨床工学科のスタッフを対象とした勉強会を開き、準備しました」と説明する。
離島・へき地で活用も
羽生病院では最重症の患者さんが入院する4室と、コロナ病棟内のスタッフステーションを同システムで結ぶ。取材で訪れた日も、コロナ患者さんの診療を担う髙橋暁行副院長(循環器科)が、モニターに映し出された病室内の映像や生体情報などを小まめにチェックしていた。「人工呼吸器やECMOのモニターをカメラの方向に向ければ、画面の拡大機能がありますので、それらの設定情報もそのまま確認でき、脈拍や酸素飽和度、心電図などバイタルの情報と合わせ全身状態の把握が可能です。患者さんの状態に異変が生じた場合、病室内にいる看護師にビデオ通話で指示した後、急ぎ私も病室に向かいます」(髙橋副院長)
また髙橋副院長は「医師不足の離島・へき地病院と、都市部の病院を接続し、患者さんの情報を共有して診療支援するなど、ポスト・コロナでもさまざまな活用の可能性があると思います」と展望している。