お知らせ

永田・湘南藤沢病院部長 胃ESDで新たな手技

2021.08.24

永田・湘南藤沢病院部長 胃ESDで新たな手技

湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)の永田充・内視鏡内科部長は、胃がんのESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)でのS-Oクリップの有用性を示す原著論文を、消化器内視鏡分野のトップジャーナルである米国消化器内視鏡学会(ASGE)の『Gastrointestinal Endoscopy(GIE)』 に投稿、2021年5月号に掲載された。

米消化器内視鏡学会誌に原著論文

「胃ESDの海外での普及の一助に」と永田部長 S-Oクリップで粘膜を把持し、治療時間を短縮

永田部長は、胃がんのESDに関し、従来法とS-Oクリップを使用した方法を比較した。ESDは、がん細胞の浸潤が粘膜下層までにとどまる早期の消化器がんを、電気メスで内視鏡的に切除する手技。S-OクリップとはESDを行う際に、視野確保と手技時間短縮を目的に粘膜を把持するデバイス(器具)だ。

まずS-Oクリップの胃ESDでの使用法を標準化し、内視鏡と干渉しないための方法を詳しく説明。さらに同院で実施したS-Oクリップ使用群と従来法群の症例を、信頼性の高いランダム化比較試験を用い比較した。その結果、胃ESD施行時間(中央値)が従来法群では52.6分だったのに対し、S-Oクリップ使用群では29.1分と統計学的に有意に短縮。穿孔は両群ともに発生しなかった。

胃ESDは難易度が高く、時間が長くかかる傾向にあるため、海外ではまだ普及していないのが現状だが、論文では施行時間の大幅な短縮を示し、同手技の難易度が下がったことを強調した。

論文掲載にあたり永田部長は「胃ESDは低侵襲で患者さんに有用な治療法です。今回の報告により、胃ESDの海外での普及の一助になることを期待しています」と抱負を語っている。論文の概要はYouTubeでも説明している。

論文の概要はYouTubeでも解説

ページの先頭へ