武蔵野病院 画像診断装置「ARTIS icono D-Spin」 迅速・低侵襲な脳血管内治療 徳洲会グループで初めて導入
武蔵野病院 画像診断装置「ARTIS icono D-Spin」
迅速・低侵襲な脳血管内治療
徳洲会グループで初めて導入
脳血管内治療センター開設
手がけた血管内治療が1,800件に上る渋谷センター長
武蔵野病院が導入した「ARTIS icono D-Spin」は、シーメンスが開発した据え置き型のデジタル式X線透視診断装置。とくに脳卒中での脳血管内治療をイメージして開発、国内では2019年11月に販売スタート。
脳卒中は脳の血管に異常が生じ、脳細胞に血液が行き渡らなくなる病気。主に脳梗塞など血管が詰まるタイプと、脳出血やくも膜下出血など血管が破れるタイプがある。近年、死亡率は下がっているものの、日本人の死因第4位だ。
正面と側面のアームを同時に可動。写真左は側面のアームを一度、退避させなければならなかった従来の形を再現
撮影した画像をクリアに表示。画面を分割したり再撮影することなく画像を拡大したりすることも可能
脳卒中の治療や予防でニーズが高まっているのが、カテーテル治療。足の付け根から脳血管にカテーテル(管)を送り、瘤が破裂しないようにコイル(プラチナ製の糸)を詰めたり、血管を塞ぐ血栓をステント(金属製の網状チューブ)などを用いて回収したりする。
こうした脳血管の診断や治療を行う際に欠かせないのが血管の画像だ。「ARTIS icono D-Spin」はX線による画像撮影をよりスムーズに、より高画質で行えるARTISシリーズの上位モデル。装置に備わる2本のCアームで同時に2方向からの撮影を行う。
このうち3D画像では従来①側面を撮影するCアームを一旦移動させ、②正面を撮影するCアームを回転させ患者さんの位置合わせと3D撮影を行い、③側面を撮影するCアームを戻して治療のための位置を合わせ撮影――という手順をふまなければならなかった。「ARTIS icono D-Spin」は2本のCアームが連動し、撮影することができる。画像処理能力も向上し撮影自体の速度も向上したため、3D撮影にかかる時間全体を大幅に短縮した。
また、X線の発生装置と画像処理システムが連動し、自動制御で設定した画質を担保。患者さんの体格やCアームの角度によらず、術者の求める画質が適正な線量で安定して得られる。1回の撮影で画像の拡大・縮小が行えるため、患者さんの被ばく量も低減。画像を映すディスプレイも分割表示機能を搭載、術者が見たい画像を1つの画面に並べることが可能だ。なお、同装置は全身の領域にも対応できる。
脳卒中は時間との勝負 地域のために頑張る!
患者さんとスタッフへの配慮から床の色を工夫
同院は昨年8月、渋谷肇・脳血管内治療センター長兼脳神経外科部長の着任にともない脳神経外科を開設。当初、設備の面などから局所麻酔による穿頭(せんとう)術(骨に穴を開け血腫を除去)などを行っていたが、設備の充実を図り「ARTIS icono D-Spin」も導入したことから、6月1日に脳血管内治療センターを開設した。
同装置のある部屋の床を水色と緑色に区分けしスタッフがアームに当たったり、被ばくしたりしないよう配慮。「歩いて入室して来られる患者さんが増えると思い、患者さんの目にも優しい色使いを意識しました。照明にもこだわっています」(渋谷センター長)。
すでに同装置を活用した診断、治療を実施。「アームの可動域が広く、骨の影で見えづらい部分を最小にできるなど、多数の機能が搭載されています。より正確な診断、今までできなかった治療につながると期待しています」と渋谷センター長。「脳卒中は時間との勝負。地域医療のために頑張りたい」と意欲を見せる。
徳洲会グループは、今年度中に同装置を鎌ケ谷総合病院(千葉県)、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)にも導入予定。